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2014年10月15日

東京大学職員組合、第30代総長選における声明 「ふさわしい新総長像」

東京大学職員組合
 ∟●東京大学 第30代総長選における声明

東京大学 第30代総長選における声明
「ふさわしい新総長像」


 学校教育法の「改正」をはじめとする、政府・財界による大学のガバナンス強化策によって、本学をめぐる環境は短期間のうちに大きく変化しようとしている。戦後、南原繁によって礎が築かれた、「学問の自由」「大学の自治」を理念とした本学のあり方は、大きな危機を迎えている。現在選考中である次期第 30 代総長は、このような難局においても、学知の府として誇れる東京大学を発展させる人物であることが求められる。東京大学職員組合執行委員会は、こうした状況に鑑みて、次の3項目を理念とする人物が新総長に選ばれるべきと考える。

1 すべての教員・職員が誇りと安心をもって働ける環境の構築
 「構成員の幅広い支持を受け、円滑かつ総合的な合意形成」(今次選考委員会作成「求められる総長像」より)は、使い捨ての労働力、競争原理による管理という地点からは生まれない。学生・院生の模範となるような人間らしい「働きの場」を実現する。

2 東大憲章の自治理念を尊重・遵守
 日本国憲法の定める「学問の自由」は、短期的な経済的利益や国益に左右されず、長期的視点から世界の学術を発展させ協調的人類社会を実現する上で守られるべきものであり、これに基づき、東大憲章の「基本理念としての大学の自治」「基本組織の自治と責務」「人事の自律性」は定められている。この憲章の規定に基づき、構成員の自律性を尊重した運営を行う。

3 国際平和の観点から軍事研究禁止を堅持
 本学の研究は、「人類の平和と福祉の発展に資する」(東大憲章)ためのものである。これは国際紛争の解決手段として武力は使用しないという憲法の理念にもとづく。本学の軍事研究禁止の方針はこうした強い理念に支えられている。武器輸出原則緩和のもとにおける軍事研究は、この理念に抵触する。のみならず特定秘密保護法の対象として機密扱いとなる軍事研究は、「学術情報の公開」(東大憲章)の原則にも違反する。種々の外圧に屈することなく、軍事研究禁止の方針は堅持する。

2014年10月8日

東京大学職員組合

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