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2014年10月24日

北星学園大脅迫、逮捕の上村容疑者「自分で電話」認める

毎日新聞(2014年10月23日)

 ◇北海道警札幌厚別署、逮捕容疑は威力業務妨害容疑

 従軍慰安婦問題の報道に関わった元朝日新聞記者、植村隆氏(56)が非常勤講師を務める北星学園大(札幌市厚別区)に脅迫電話をかけたとして、北海道警札幌厚別署は23日、新潟県燕市新生町2、施設管理人、上村(かみむら)勉容疑者(64)を威力業務妨害容疑で逮捕した。道警によると、「自分で電話したことに間違いありません」と容疑を認めているという。

 同様の趣旨の脅迫文が北星学園大と、別の元朝日新聞記者(67)が教授を務めていた帝塚山学院大(大阪狭山市)にも届いており、道警は関連を調べる。

 容疑は9月12日午後5時48分ごろ、自宅の固定電話から北星学園大の代表番号に電話し、対応した男性警備員に「(元記者は)まだ勤務しているのか。爆弾を仕掛けてやるからな」などと脅し、大学に不審物の捜索をさせるなど業務を妨害したとしている。大学と道警が不審物を捜したが見つからなかった。

 電話の履歴などから上村容疑者が浮上した。道警は23日朝から上村容疑者の自宅を家宅捜索して資料を押収した。動機や背景について詳しく調べる。

 北星学園大などによると、3月中旬から「非常勤講師を辞めさせろ」などとのメールやファクスが多数寄せられた。5月29日と7月28日には学長や教授会などに宛てて複数の脅迫文が届いた。文書はパソコンで打ったとみられる文字で「非常勤講師を辞めさせなければ、天誅(てんちゅう)として学生を痛めつける。釘(くぎ)を混ぜたガスボンベを爆発させる」などと書かれ、茶封筒に虫ピン数十本が同封されていた。

 帝塚山学院大にも9月13日、「(別の元記者を)辞めさせなければ学生に痛い目に遭ってもらう。くぎを入れたガス爆弾を爆発させる」との脅迫文が届いた。この元記者は文書が届いた当日に教授を退職した。

 一連の脅迫について、道警と大阪府警が威力業務妨害の疑いで捜査していた。【酒井祥宏、三股智子、日下部元美】

 朝日新聞社広報部の話 記事に関して元記者の勤務先の業務を妨害することは許し難い行為と考えており、真相解明を願っています。また弊社の過去の報道をめぐって北星学園大ならびに関係者の方々にご心痛をおかけし、大変申し訳なく思っております。

北星学園大脅迫:元朝日記者の植村氏「今後の捜査見守る」

毎日新聞(2014年10月23日)

 従軍慰安婦問題の報道に関わった元朝日新聞記者、植村隆氏(56)が非常勤講師を務める北星学園大(札幌市厚別区)に脅迫電話がかかってきた事件。23日、新潟県燕市新生町2、施設管理人、上村(かみむら)勉容疑者(64)が北海道警札幌厚別署に威力業務妨害容疑で逮捕された。北星学園大の非常勤講師を務める元朝日新聞記者の植村氏は23日、「容疑者逮捕の報にホッとしている。しかし、脅迫文との関連はわからず、今後の捜査を見守りたい。いずれにしても、このような卑劣な行為は許されない」と話した。

 一連の脅迫事件を受け、作家の池澤夏樹さんらが呼びかけ人となり、北星学園大を励ますための「負けるな北星!の会」が結成された。呼びかけ人の一人で元高校教諭の新西(しんざい)孝司さん(85)=札幌市厚別区=は「脅迫電話や脅迫文は氷山の一角。容疑者一人の問題ではなく、背後には、社会全体として意に沿わない意見への攻撃やヘイトスピーチなどが横行している問題がある。そうした流れに対抗できるよう活動を続けていきたい」と話した。

 同じく呼びかけ人の内海愛子・恵泉女学園大名誉教授は「学生が集まる大学への脅迫は深刻な問題になる。言論や表現の自由に対する脅威だ。名前を出して批判するならよいが、匿名という陰に隠れて脅迫することは許されない」と語った。


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