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2014年10月26日

京都大学職員組合、大学自治を基本とした学内規則の改正を

京都大学職員組合
 ∟●職員組合ニュース(2014年10月22日)

大学自治を基本とした学内規則の改正を

 学長リーダーシップ強化を名目に、大学自治を担う教授会から重要事項の審議権(実質上の決定権)を奪い、学長の諮問機関にするとの学校教育法等改正は、私たちの反対にも関わらず、6月20日に参院本会議で可決、 27日公布され、来年4月1日施行です。現在、法改正により、それに則った学内規則の変更について、政府の意図する学長専権体制の方向か、それとも大学自治を基本とする改正かが問われる状況となっています。

「京大の組織に関する規程」は教授会権限を保障

 改正前の学校教育法は、第93条1項で、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」として、教授会設置を義務づけ、重要事項審議の権限を明確にしていました。京都大学でもこのことに基づき、「京都大学の組織に関する規程」において、次のように重要事項を具体化した規程を作っています。
 「第17条 研究科に、学校教育法第93条第1項に定める教授会を置く。/第18条 教授会は、研究科に係る次の各号に掲げる事項について審議する。/ (1)教育課程の編成に関する事項/ (2) 学生の入学、課程の修了その他学生の在籍に関する事項及び学位の授与に関する事項/ (3)研究科長の選考及び解任に関する事項/ (4)教授、 准教授、講師及び助教並びに助手 (以下「教員」という。) の採用、昇任及び懲戒処分に関する事項その他国立大学法人京都大学教員就業特例規則の規定によりその権限に属するものとされた事項/ (5)その他教育又は研究に関する重要事項/ 2 教授会は、特定の事項を審議するため、研究科会議を 置くことができる。」

改正学校教育法の記述は学生の 入学卒業等と学位授与だけ

 しかし、改正学校教育法は、「大学に、教授会を置く」だけとし(93 条)、「教授会は、学長が次に掲げる事項について決定を行うに当たり意見を述べるものとする」として 諮問機関的位置付けにし(同条第②項)、具体的事項は、「一学生の入学、卒業及び課 程の修了/二 学位の授与」の2つしか記 載していません。カリキュラム編成、研究科長選考、教員人事等々、部局の教育研究と一体である最も重要な教授会権限は不要であると言わんばかりです。

改正学校教育法でも存在する 教授会での重要事項の審議

 一方で、同条第②項の三では、要旨「前2 号のほか、教育研究の重要な事項で学長が教授会意見を聞くことが必要なもの」には意見を述べることができるとし、第③項でも、要旨「教授会は前項規程のほか、学長等がつかさどる教育研究事項を審議し、意見を述べることができる」とし、私たちの運動の反映と大学自治の基本のもと、教授会は重要事項を審議するとの条文は消されず明確に存在しています。
 学内規則の重要事項を何とするかは大学の権限です。政府・文部科学省は、「大学における内部規則・運用見直しチェックリスト」等々を提示するなど教授会権限縮小を迫って細かな指示を乱発しています。

総長選結果を反映した学内規則 改正が教職員の意志

 京都大学は10月14日の部局長会議で、 学内諸規定の総点検・見直しワーキンググループ要綱案とスケジュールを確認しました。部局長会議に2回報告、12月に文科省へ進捗状況報告、1月部局長会議に最終報告、決定というものです(下表)。
 7月の総長選挙結果は、教職員が、大学自治のもと、学内の意見を聞く、教授会審議尊重の運営を求めていることを、はっきりと示しました。その立場を明確にして選出された新総長のもと、新たな学内規則についても京大の民主的運営を保障する内容となることが強く求められています。


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