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2014年10月27日

北海道教育大、学長選考密室の決定 大学自治を破壊する

北海道新聞(2014/10/26)

密室の決定「自治脅かす」、道教大・学長選の教職員投票廃止 強まる学長色、根強い反発

 北海道教育大の学長選考会議が決めた、学長を選ぶ際の教職員による「意向投票」の廃止をめぐり、同大教職員の間には「大学の自治を脅かすものだ」との反発が根強い。同会議は非公開で開かれ、教職員の傍聴も認められていない。27日に開く同会議で関連規約の変更が行われる予定だが、大学の重大事を決める議論が「密室」で行われることへの不満が強い。

 関係者によると、道教大の意向投票は教員や係長以上の職員ら約500人が投票権を持つ。廃止を決めた6日の学長選考会議では開会に先立ち、教授51人が連名で制度の存続を求める要請文を提出。「大学を構成する教職員の論議の上で運営するのが『大学の自治』の本質」と、廃止反対を訴えた。しかし会議では学外委員を中心に「選考会議が主体的に選ぶべきだ」との議論が行われ、投票存続の主張は多数決で退けられた。 

■学問の自由は

 国立大学の学長選考は、国家権力など学外の干渉を受けずに教育・研究を行う「学問の自由」を保障するため、学内の教職員による投票で選ぶ形が続けられてきた。2004年の国立大学法人化で、学外有識者も含めた学長選考会議が選ぶ形に改められたが、多くの国立大学法人は「意向投票」という形で教職員による投票を続けてきた。

 ある教員は「投票という民主主義のプロセスを踏んでこそ、学長は、学内で支持され信頼される存在になる」と主張する。

■次点でも再任

 ただ、道教大はこれまでも意向投票結果と異なる学長が選ばれた経緯がある。11年の学長選で選考会議は、意向投票で2位にとどまった本間謙二学長を「意向投票の結果や、立候補者との面接などを踏まえた」として再任。05年と13年には投票そのものを行わずに学長を再々任した。複数の教員が「就任に至った経緯や選考の理由の説明を受けていない」と憤りを語る。

 選考会議に本間学長は入っていないが、投票廃止には学長サイドの考えが大きく働いたもようだ。会議の構成メンバーは弁護士など学外7人、教員7人、理事2人の計16人で、教員を除く9人は事実上、学長が指名できる。関係者は「投票結果と違う学長を選んで混乱するくらいなら、投票そのものを廃止した方が、しこりが残らない」と解説する。

 学長選考の過程は非公開で進められ、議論の中身は教職員すら知らされていない。取材に対しても同大は「一切答えられない」と繰り返す。

 北大大学院教育学研究院の姉崎洋一特任教授(高等継続教育)は「意向投票の廃止方針を非公開で議論することがそもそも問題。開かれた大学づくりや対話型民主主義を実現させるため、意向投票は存続させるべきだ」と指摘している。


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