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2014年11月06日

京都大学未払い賃金請求訴訟、第1回証人尋問傍聴記

京都大学職員組合
 ∟●第1回証人尋問傍聴記1 ー賃金請求訴訟ー(2014/10/31)

第1回証人尋問傍聴記1 ー賃金請求訴訟ー

 10月29日、京都地裁第101号法廷において未払い賃金請求訴訟の証人尋問が行われた。これまでの口頭弁論における原告被告双方の主張が証人の証言によっていかに裏付けられるかが争点となる。裁判もいよいよ山場を迎えたわけである。29日の尋問は被告側の二人の証人に対して、まず被告側の弁護士が主尋問を行い、次に原告側の弁護士が反対尋問を行う、という順で進められた(4時間近く)。主尋問は後の反対尋問をいわば予測する形で個々の論点を確認する仕方で進められ、反対尋問はその矛盾点を突くという攻防となった。

 わたしたち原告側から言えば、今回の証人尋問の目的は次の点にあった。反対尋問によって被告側の主張を切り崩すことよって裁判を優位に進めることと、被告側の論点を顕わにすることによって、一週間後11月5日の二回目の証人尋問(原告側の三人、石田前書記長、高山原告団長、西牟田委員長が登場)に備えることである。

 第一回目の証人尋問で明らかになったのは、被告側の論点は結局次の点に尽きているという点である。

1.給与引き下げという国の要請は事実上の強制であった。文言による強制ではないが、京都大学当局は強制と受け取った。この要請=強制に従わない場合、大学はその社会的な責任を果たしていないと言うことで、マスコミや世間(?)からの批判に晒されることになることを恐れた。

2.給与引き下げを実施するために、手続きに則った説明が行われた。つまり、部局長会議、教育研究評議会、経営協議会、役員会の一連の会議で審議し、教職員には一斉メール、グループウェア、ホームページによって周知し、組合とも団交などで説明した。

3.国の要請=強制に対応して、他大学と比べて減額率を圧縮することを、京都大学は自主的に行った。

4.運営交付金の減額(30億円余り)に対処するには、人件費の削減が不可欠であった。交付金のうちの物件費は人件費に回すことができず、外部資金の間接経費や寄付金からも人件費は支出できない。交付金における人件費の減額=給与削減しかなかった。

 以上の論点はこれまで被告側が述べてきたことの繰り返しであり、この論点をつぶす作業が次回の証人尋問のテーマとなる。被告側の立論から確認すべきは、次の点である。まず、給与削減はそもそも前提であった(給与削減ありき)。そしてこの前提は国の要請に応えることこそが大学に使命であるという公務員時代の発想へのとらわれからの帰結である。この前時代的意識こそが人件費削減を回避することの柔軟な検討を放棄させ、教職員と組合への対応の不誠実さの元凶となった。国の政策が誤っているときに、それを批判し質すことが大学の真の社会的責任であることを、もはや公務員ではない大学教職員は自覚しなければならない。ここに根本的な争点がある。

 第一回の証人尋問が終わり、山の4合目までは進むことはできた。後は、再度法廷を傍聴人で埋め尽くすことによって、第二回目の証人尋問に勝利するという山の頂上を目指すことのみである。11月5日の証人尋問への傍聴行動への参加を求めたい。


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