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2014年11月19日

名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件、谷口教授を支援する会 第3弾「支援のつどい」を開催

谷口教授を支援する会
 ∟●谷口教授を支援する会ニュース、第26号(2014年11月18日)

第3弾「支援のつどい」を開催し、地裁勝訴を力に

 11 月 5 日(水)18:30 より、「支援のつどい」が開催されました。一昨年の結成大会より数えて三回目、今年も中京大学名古屋キャンパスを会場にしての開催です。東海私大教連の加盟組合のみならず、それ以外の公立大学、国立大学からの参加も含めて31名の支援者が集まりました。

 「つどい」は、支援する会世話人の中村浩也氏(東海私大教連)の司会進行のもと、代表世話人の猿田正機氏(中京大学)の挨拶から始まりました。すでに去る9月18日名古屋地方裁判所において、完全勝利の判決が下されていましたので、今回は、裁判報告が中心となりました。

 谷口氏からの裁判報告(写真)では、谷口氏に対して学園によって加えられた数々の不当な仕打ちや懲戒、そして解雇処分に至るまでの一年余の経過があらためて説明されました。谷口氏はこれらの学園の行為に解雇及び懲戒の無効と学園と理事長による損害賠償を求める裁判を起こしました(解雇前には 2回仮処分申立をしています)。一方学園は、谷口氏が残酷な仕打ちを受けていた時期に匿名で書き続けていたブログの内容が学園を誹 謗中傷しているとして名誉毀損の裁判を起こしました。この「名誉毀損」が解雇の理由であったため、両裁判は途中から併行審理となって今年4月10日に併合され、9月18日に、「名誉毀損」を否認した上で全面勝利の判決が下されたのです。谷口氏は以上の事件と裁判の経過を、簡明な表にまとめて報告しました。学園は 9月25日名古屋高裁に控訴しました。闘いはまだ長く続くと思われます。谷口氏は、「最後までがんばり抜くので支援の継続をお願いします」と言葉を結びました。

 続いて弁護団から判決の内容とその意義が解説されました。 石塚徹弁護士は、まず第一に判決の2つの異例な点を指摘しました。「7 つの処分をすべて違法で無効であり、組合潰しを目的とした不当労働行為と判断したこと」「谷口氏に対する不法行為に対する慰謝料の支払いを命じたこと」です。通常は職権濫用ぐらいで不当労働行為とまで認定しない、 労働事件において慰謝料の認定はきわめてまれということです。次に、配転・降格無効の理由に「大学教員にとって、講義・演習・研究は義務のみならず、雇用契約上の権利でもある」と認めたことを、今後の運動に役立てる重要なポイントだと強調しました。最後に、ブログによる名誉毀損を認めなかった判決文について、学園の控訴を見越した、これもまた異例で非常に丁寧な内容だと例を あげて解説しました。

 続く小島高志弁護士(東海私大教連の顧問弁護士)は、判決文から「越原学園が如何にひどいか を見抜いた裁判官の怒り」を感じる、と述べました。数年前まで職場のパワハラはそれほど問題に なっておらず、精神疾患・自殺においこまれていない段階で、業務の差し止めを訴えるのは難しかったが、谷口裁判はそれを破った。そして、今回の判決は教員の権利拡大に大いに役立てるべき、 と評価しました。最後に SLAP 訴訟(名誉毀損を口実にした言論封殺)の危険を避けるために、組合活動において使用者を批判するときには、言葉の選び方に気をつけること(しかし萎縮しないで立 ち向かうこと)を教訓としました。

 質疑応答をはさんで、名古屋大学職員組合中央執行委員の和田肇氏、中京大学教職員組合執行委員長の細川眞氏から支援のご挨拶をいただき、続いて、世話人の本多信弘氏(東海私大教連)から「支援する会」の活動報告と会計報告がされ、最後に「行動のよびかけ」が、世話人の竹田昌次氏(中京大学)により確認されました。

 裁判は地裁勝利判決をもって一段落しましたが、越原学園はすぐさま控訴し裁判を長引かせようとしています。谷口氏の闘いは教壇復帰までまだまだ長く続きます。一層の団結をもって支援を続 けていくことを決意して「支援のつどい」は閉会しました。

 終了後は、中京大学内のレストランにおいて懇親会が開かれ、世話人の淺川和也氏(東海学園大 学)が乾杯の音頭をとり、和やかな交流がすすめられるなか、大学や労働現場をとりまく深刻な現 状にも話題がおよびました。世話人の河野敏宏氏(愛知学院大学)の閉会の挨拶のなかの「越原学 園事件は他人事ではない、どの大学でも起こりうる」という言葉に深く感銘をうけました。

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