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2014年11月01日

がんばらない北星学園大学

北海道新聞(2014/10/31)

元朝日記者の講師契約打ち切りか 脅迫事件の北星学園大

 札幌市厚別区の北星学園大に、元朝日新聞記者の非常勤講師の解雇を要求する脅迫状などが届いている問題で、教職員らで30日に結成した「大学の自治と学問の自由を考える北星有志の会」は、同大が来春、この講師との契約を更新しない方向で検討に入ったことを明らかにした。

 有志の会によると、田村信一学長が29日、学内の会議で初めて表明した。講師を雇用し続けるには、人的、財政的な負担が大きすぎ、来年度の入試も不安、との理由を挙げたという。学長は11月5日に予定している評議会に諮問し、理事会の意見を聞いた上で、学長として最終的に判断するとの考えを示したという。

 この講師は2012年からこれまで、1年ごとの契約を2回更新している。同大は北海道新聞の取材に、「内部の会議での話なので、内容は答えられない。(講師の契約については)学内手続きにのっとって進める」と話した。

 大学関係者によると、北星大は脅しの電話、メールに対応する職員や警備員を雇ったため、1500万円前後かかった。爆破予告により、授業や入試が妨害されることも心配している。

 同大は9月30日、田村学長名で「本学に対するあらゆる攻撃は大学の自治を侵害する卑劣な行為であり、毅然(きぜん)として対処する」との見解を発表していた。

 有志の会の初会合には教職員20人が参加。事態の急展開を受け11月4日、情報共有の学内集会を開く。

 攻撃されている非常勤講師は1991年、朝日新聞に韓国の元慰安婦の証言を韓国紙に先駆けて報じた。

 国内の著名人らが呼び掛け人になり、脅しに屈しないないよう運動している「負けるな北星!の会」は、「結果として、こうした(不当な)要求を受け入れたら、ほかにも波及する。結論を急がず、論議を深めてほしい」とコメントした。

北星学園大、脅迫文届いた元朝日記者「雇用せず」

スポーツ報知(2014年10月31日)

 従軍慰安婦問題の報道に関わった元朝日新聞記者が非常勤講師を務める北星学園大(札幌市厚別区)に、元記者を辞めさせろとの脅迫文が届いた問題で、田村信一学長は31日、記者会見を開き、元記者との来年度の契約を更新しない方向で検討していると明らかにした。

 田村学長は、学生の不安が大きい上に、警備など多大な危機管理費用の問題もあり、「臨戦態勢を続けることは体力的に厳しい」と説明。29日に開かれた各学部長らで構成される危機管理委員会で「来年度の契約を更新しない」と提案したという。今後、大学評議会や理事会で意見を聴き、理事長と学長が最終的に判断する。

 大学への脅迫や抗議はことし3月から始まり、5月に本格化。多数の電話やメールが相次ぎ、学校説明会や大学祭では警察や警備会社を頼った。大学側は5月と9月に「大学の安全を守れなくなった場合は辞めてもらう」と元記者に伝えていた。

 来年の受験を考えている高校生の保護者からは心配の声が寄せられているといい、田村学長は「残念だが、いずれかの時点でこの問題を収束させないといけない」と苦渋の表情で話した。

 脅迫を受けた大学を励まそうと結成された市民団体「負けるな北星!の会」の関係者は「犯人の要求をのむことに等しい。北星学園大だけではなく、みんなが言うことを聞くと思わせてしまう」と大学側の動きに反発している。

 北星学園大は脅迫文が届いたことを受けて、9月30日に「大学の自治を侵害する卑劣な行為には、毅然(きぜん)として対処する」との文書を出していた。

 北星学園大には10月31日、不審な白い粉が入った封筒が郵便で届き、厚別署が威力業務妨害容疑で調べている。

脅迫受けた大学 元記者を雇用しない考え伝える

NHK(10月31日)

いわゆる従軍慰安婦の問題の取材に関わった朝日新聞の元記者が非常勤講師をしている大学が脅迫を受けた問題で、大学の学長が警備などを念頭に人手や財政面の負担が大きいことなどを理由に、来年度は元記者を雇用しない考えを学内の会議で伝えていたことが、関係者への取材で分かりました。
取材に対し、学長は、今後理事会との協議などさまざまな手続きを経たうえで雇用を継続するかどうか対応を決めるとしています。

いわゆる従軍慰安婦の問題の取材に関わった朝日新聞の元記者が非常勤講師をしている札幌市の北星学園大学を巡っては、「講師を辞めさせないと学生に危害を加える」などと書かれた脅迫文が届いたほか、「爆弾を仕掛ける」という内容の脅迫電話をかけた疑いで、今月、男が逮捕されました。
関係者によりますと、北星学園大学の田村信一学長は、29日の学内の会議で来年度は元記者を雇用しない考えを伝え、理由として、警備などを念頭に問題の対応に当たる人手や財政面の負担が大きいことや、来年の入学試験が無事に行えるかどうかの不安を挙げたということです。
田村学長はNHKの取材に対し、「今は答えられない」としたうえで、「まだ決定したわけではなく、これからもさまざまな手続きがある」と述べ、今後理事会との協議などを経たうえで雇用を継続するかどうか対応を決めるとしています。
この問題を巡っては、今月、全国の大学教授や弁護士らが「脅迫に屈すれば学問の自由が損なわれる」などとして元記者の雇用を守るよう大学側に申し入れをするなどの動きも出ています。


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