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2014年11月07日

岡山大が「不正論文」疑いで調査 柏倉衆院議員が執筆

共同通信(2014/11/06)

 みんなの党所属の衆院議員の柏倉祐司元岡山大医学部特任准教授(45)が2008年に筆頭著者として発表した論文に、改ざんの疑いがあるとの告発があり、大学が外部の有識者を含む委員会で調査を実施していることが6日、大学関係者への取材で分かった。

 柏倉氏は事務所を通じて「指摘は承知しているが、事実無根だ。大学が調査中で、結果を待ちたい」とコメントした。

 告発したのは岡山大薬学部の元学部長森山芳則教授と、同学部の榎本秀一教授。柏倉氏のほか、医歯薬学総合研究科の男性教授らの論文計約10本に、画像やデータが不正に改ざんされた可能性があると指摘する告発書を大学に提出した。


医学論文不正疑惑の衆院議員「肩書きが利用された」と真っ向否定 背景に激しい派閥対立か

産経(2014/11/06)

STAP細胞の研究不正疑惑が明らかになった今春以降、各地の大学で研究不正に厳しい目を注ぐようになり、不正発覚や処分が相次いでいる。ただ、今回の衆院議員の論文をめぐる告発の背景には、大学内の派閥対立を指摘する声も上がる。議員は取材に対し論文不正を真っ向から否定し、今回の告発を「大学内の権力闘争で、(攻撃材料として)国会議員としての私の肩書きが利用された」と批判している。

 前薬学部長と前副学部長は今回、議員の論文だけでなく、大学病院長や副学長らが関わった論文を中心に告発した。

 議員は、今回の告発は学内の権力闘争の一環にすぎず、「新たなハラスメント(嫌がらせ)のやり口になっている。大学教授が告発を連発するのは倫理観が問われかねない」と話した。

 これに対し、前薬学部長は「『権力闘争』との批判は事の本質と深刻さが分かっていない」と反論。今年4月には、告発を取り下げるよう大学側から不当な圧力を受けたとして、副学長に損害賠償を求める訴訟を岡山地裁に起こした。大学側は9月、教員らを蔑視する表現が多数含まれるメールを所属教員全員に送るなどのハラスメント行為があったとして、前薬学部長らを懲戒処分にしたが、「報復的だ」との批判の声も上がった。

 この状況に、ある大学関係者は「前回(平成25年)、前々回(22年)の学長選で病院長や副学長らは現学長を支持し、別の候補を推した前薬学部長らと対立した。背景には感情的な確執があるのではないか」との見方を示す。

 議員の論文に不正があったかどうかの真相は、現在も本調査の結果が出ておらず定かではないが、すでに“内紛”は泥沼化。前薬学部長らの懲戒処分後、指導を受けられない状況が続く学生らは「研究に専念できない」と憤りを隠せない。

 大学院で博士論文の審査を控える男子学生(27)は「大学からは『適正な教育、研究環境を確保することを約束する』とのメールが1通届いただけ。就職の内定先に状況を説明できない」と困惑している。


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