研究者の地位と権利を守るための全国的ネットワークをつくろう!

2014年11月14日

東京私大教連、大会決議「すべての大学で真の「学問の自由」「大学の自治」を保障することを求める決議」

東京私大教連
 ∟●第38回定期大会決議(2014年11月8日)
  ∟●すべての大学で真の「学問の自由」「大学の自治」を保障することを求める決議

すべての大学で真の「学問の自由」「大学の自治」を保障することを求める決議

1.安倍政権は 2014 年6月 20 日、学校教育法と国立大学法人法の改正法案を、審議を尽くさないまま 可決成立させました。さらに、文科省が8月 29 日に発出した同法の施行通知は、法律および国会審 議をも逸脱し、学問の自由と大学の自治に対する不当な攻撃を加えています。
 憲法 23 条が保障する学問の自由とは、大学においては、東大ポポロ座事件最高裁判決(1963 年) が示すとおり、「教授その他の研究者がその専門研究の結果を教授する自由」、「大学の講義または演 習において教授する自由」を含意しています。このような自由が担保されるためには、各教員が大学 の意思決定に関して研究者、教育者の立場から主体的に参加する制度が必要であり、だからこそ、「大 学における学問の自由を保障するために、伝統的に大学の自治が認められている」のです。
 それに対し、施行通知は、大学の自治の保障は「教育研究に関する大学の自主的な決定を保障する もの」と説明します。もちろん、組織としての大学の自主的な決定が保障されていることは、大学の 自治が成り立つために必要ですが、上記最高裁判決も明らかにしているとおり、それだけでは大学の 自治が保障されたとは言えません。

2.私立大学における大学の自治は、国家権力等からの自治とともに、設置者(学校法人)からの自治 が保障されて初めて実現されるものです。個々の研究者が自己の学問的研究に誠実であるために学問 の自由の保障が必要とされるのですから、大学の学長や理事長・理事会の恣意的な判断が教員や学生 の自由な真理探究を阻害することがあってはなりません。
 ところが施行通知は、「私立大学においては、私立学校法第 36 条により、設置者である学校法人が その運営についての責任を負い、理事会が最終的な意思決定機関として位置づけられている」とし、 教学に対する理事会の権限を強調しています。しかし、私立学校法にそのような規定はありませんし、 今回の学校教育法改正とも一切関係がありません。
 一部の学校法人では、創立者一族や理事長による私物化と専断的な学園経営・大学運営が行われて います。こうした学校法人においては、教授会は教学事項に関しても審議権・決定権を奪われ、学長 は理事長が任命するか、もしくは理事長が兼任するなど、非民主的な管理運営がなされており、不祥 事の多くはこうした大学において発生しています。施行通知が、「学校法人自らが学長選考方法を再 点検し、学校法人の主体的な判断により見直していくこと」と述べるなど、改正法が要求しない私立 大学の組織・運営に言及していることは、大学の自治の理念を著しく矮小化しようとするものであり、 重大な問題です。

3.研究者が自己の学問的信念と責任に基づいて自由に議論し合う場が確保されることは、学術の健全 な発達にとって欠かすことできない条件です。今私たちが学問研究に励むことができるのは、過去の 学問的探究の成果を受け継ぎ、様々な困難を乗り越えて、真理探究のために忌憚のない議論を闘わせ、 切磋琢磨して発展させてきた先人たちの努力の賜です。学術の中心である大学に働く私たちは、単に 先人たちの成果を享受してそれに安住するだけでなく、学問をさらに発展させ、その営みを未来の研 究者、教育者、学生たちへと受け渡し、彼らが安心して創造的な学問研究と教育に専心できる条件を 整える責務を担っています。その責務の大きさを顧みるならば、政府・財界が「大学の自主的な判断」 というベールをまといつつ、様々な形で大学での研究教育に介入しようとしていることを断じて容認 できません。
 私たちは、今回の学校教育法と国立大学法人法の改正に改めて抗議するとともに、政府・文科省に対 し、すべての大学に真の「学問の自由」と「大学の自治」を保障するよう強く求めます。
以上、決議します。

2014 年 11 月 8 日
東京私大教連第 38 回定期大会

|