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2014年12月03日

全大教、第26回教研集会記念講演「市民社会と学術・大学-大学とは何かを考える-」

全大教
 ∟●全大教時報「Vol.38-No.5」より

記念講演

専修大学法学部教授、元日本学術会議会長
広渡 清吾

市民社会と学術・大学-大学とは何かを考える-

 全大教でお話をさせていただくことになりました。私は以前、国立大学に勤務しており全大教の組合員でありましたし、現在は私大教連傘下の専修大学教員組合の組合員です。今日のタイトル、「市民社会と学術・大 学jは書記長の長山さんからいただいたのですが、このタイトルの下で何を 話そうかと考え、サブタイトルを付け、「大学とは何かを考える」としました。
 ご承知のように、安倍政権の下で「戦後レジーム脱却J型の改革が進行しています。「戦後レジームからの脱却」は安倍さん自身のキーワードですが、 憲法の観点からすると、ほとんど反動的改革と言わざるを得ない。昨年 12 月、特定秘密保護法が成立させられました。行政機関の長が特定するとそれ が秘密となり、それに近づいたり漏らしたりすると懲役 10年。これが法治 主義の下での法制度のあり方かということで、非常に大きな議論が起こりま した。集団的自衛権を 9条の強引な解釈変更で認めるという問題も同じです。
 一言でいうと、安倍政権の政策と閣僚のパフォーマンスは憲法的なタガが外れている。今年(2014年)6月に大学のあり方に介入する学校教育法・国立大学法人法の改正が成立しました。これも、タガが外れた一つの見本です。 しかし、こういうときに情勢対応型の議論をしているだけでは全体の見通し がつきにくいので、back to the basic、基本に帰り、大学とは何かに立ち返っ て考えてみよう、これが今日の報告の趣旨です。
 そこで、「学術」と「市民社会」という 2つの視点からアプローチして、 大学のあり方を「大学の社会的責任」というコンセプトに集約させて考えて みたい。後で申しますが、「大学の社会的責任」は改正法の施行について文科 省が出した「通知」の中にも出てきます。「大学の社会的責任」をめぐって、 原理原則から議論を戦わせる土俵ができたというわけです。

……以下,省略……

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