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2014年12月01日

私大の定員超過抑制へ 文科省検討、大都市で助成厳格化

朝日新聞(2014年11月30日)

 文部科学省は、大都市圏の私立大学について、入学定員を超過して学生を集めた場合のペナルティーを厳しくする方向で検討に入った。大学生全体の4分の3を占める私大生のうち、5割程度が首都圏に集中している現状を変え、地方の過疎化に歯止めをかけるのが狙い。

地方の大学、魅力向上がカギ
 文科省の学校基本調査によると、東京、埼玉、千葉、神奈川の4都県の私立大、短大、大学院は全国の学生数の48%を占める。大阪、京都、兵庫の3府県と愛知県を加えた3大都市圏でみると、総人口比47%(2013年)に対し、学生数は75%にのぼった。

 都市部の私大が定員を大きく超えて学生を集めることで、地元への就職が比較的多い地方大学に通う学生が減り、地方企業に人材が集まらない悪循環に陥っている。

 このため、文科省は私学助成金の交付要件を変えて学生の都市部への集中を防ぐ検討を始めた。現行のルールでは、入学者が定員の130%以上、全体の定員が8千人以上なら120%以上だと助成金を交付しない。この基準をそれぞれ120%、110%に10ポイントずつ下げる案が軸になる見通しだ。変更の範囲は首都圏など都市部になる予定で、実施時期は未定だが早ければ、今年度中にもルール変更を決める見通し。

 私大にとっては助成金は収入の1割を占めるため、要件変更によって事実上、過度の超過分の削減を迫られることになる。定員自体は現在、私大の経営判断である程度自由に設定ができるうえ、国は抑制を強制することはできないが、都市部では定員自体を簡単には増やせないような仕組みも今後検討される見込みだ。

 例えば、都内では定員110%以上の超過部分だけで学生数は約1万2千人、学部は173にのぼる。文科省は要件変更により、一定の数の学生が地方に流れることを想定している。

 文科省が定員超過に厳しい態度をとるのは、教員数が定員数に基づき決まり、定員を超過するほど、教育の質の悪化につながりかねないからだ。私大にとっては定員を抑えたままなるべく多くの学生を獲得した方が経営にプラスになるという事情もある。

 日本私立学校振興・共済事業団が全国578大学を対象に行った調査では、14年春の入学者の入学定員に占める割合は東京都で110%、大阪府105%、愛知県104%といずれも超過した。これに対し、宮城県を除く東北5県は82%、四国が90%など、地方では「定員割れ」が目立つ。


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