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2014年12月16日

科学研究の健全性向上のための共同声明

国大協
 ∟●科学研究の健全性向上のための共同声明

科学研究の健全性向上のための共同声明

 我が国の研究機関は、種々の学術分野で世界の拠点の一角を占め、数多くの 重要な成果を挙げてきた。このことは、我が国の研究者がノーベル賞をはじめ とする国際的な学術賞の受賞者に数多く含まれていることからも明らかである。
 その中にあって大学は、高等教育を通じて広く人材を育成するとともに、研 究活動の拠点として重要な役割を果たし、優れた研究成果を挙げてきた。
 学術分野における国際協力と競争が進む中で、我が国の大学が果たす役割は、 これからもますます重要さを増すと考えられる。

 一方で、研究費の不正使用、データのねつ造や改ざん、盗用に代表される研 究活動における不正行為が後を絶たないという問題が存在している。最近も、 研究費の不適切な使用、データねつ造等の論文作成における不適切な行為等の 研究活動に対する社会的な不信を招く事案が大学等の研究機関で多発している のは、残念ながら事実である。
 これまで、日本学術会議は、平成18年10月に声明「科学者の行動規範」を公表し、平成 25年1月にその改定を行うなど、研究不正問題に関して、科学者 コミュニティの代表機関として取組を進めてきた。また、各大学においても学 内に倫理委員会が設置され、研究不正の防止や疑惑が生じた際の対応を行う体 制が整備されてきた。
 政府においても、総合科学技術・イノベーション会議が、科学技術の研究に 関わる各主体に研究不正行為に対する不断の取組を求める意見具申「研究不正 行為への実効性ある対応に向けて」を決定した(平成 26 年 9 月 19 日)。また、 研究機関を所管する各府省により取組が進められ、例えば、文部科学省は、先 般、従来の研究における不正行為や研究費の不正使用に関わるガイドラインを 格段に充実させ、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(文部科学大臣決定) 」の策定(平成 26 年 8 月 26 日)及び「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」の改正(平成 26 年 2月 18 日)を行ったところである。

 一般社団法人国立大学協会、一般社団法人公立大学協会、日本私立大学団体 連合会及び日本学術会議は、我が国の学術界が、日常的な研究活動における研 究の健全性を飛躍的に強化するとともに、研究者の育成において一人ひとりの 研究者の規範意識を高めるための対策を講じることによって、我が国及び国際 社会における学術研究に対する信頼性を回復して、さらにそれを高めていくことが急務であると考え、以下のとおり決意を表明し、我が国の学術界の責務と して、各団体が協力して研究の健全性向上のために活動することを宣言する。

1 大学等の研究機関は、世界における研究活動の中心の一つとしての役割を さらに高めていくため、研究活動における不正行為、研究費の不正使用を許 さず、世界の範たる健全な研究を遂行する。もし疑惑が生じた場合には、第 三者の協力を得つつ、組織の責任として、適切な方法で迅速・的確に対処す る。

2 研究活動における不正行為、研究費の不正使用の防止には予防的な措置が 不可欠であり、大学等の研究機関は、すべての研究者が健全な研究活動を実 践できるよう、広く研究の倫理を含めて、適切な学習プログラムの履修を義 務付けるとともに、これらが実効性あるよう、継続的に評価・審議していく。

3 大学等の研究機関及び日本学術会議は、我が国の科学者コミュニティの主 要な一員として、研究活動における不正行為、研究費の不正使用に対する厳 正な対処・予防のための学習プログラムの開発と普及に向けて相互に協力し、 我が国の科学研究に対する国内外の信頼を高めるために全力で取り組む。

平成26年12月11日

一般社団法人国立大学協会会長 里見進
一般社団法人公立大学協会会長 木苗直秀
日本私立大学団体連合会会長 清家篤
日本学術会議会長 大西隆

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