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2015年01月21日

全大教、未払い賃金請求訴訟の東京地裁不当判決に対する声明

全大教
 ∟●独立行政法人国立高等専門学校機構を被告とする未払い賃金請求訴訟の東京地裁不当判決に対する声明

独立行政法人国立高等専門学校機構を被告とする未払い賃金請求訴訟の東京地裁不当判決に対する声明


2015年1月21日
全国大学高専教職員組合(全大教)中央執行委員会
同      弁護団


 本日、東京地裁民事11部(佐々木宗啓裁判長)は、国立高専機構が2012年7月1日に教職員賃金を平均8.2%引き下げたことに対し、全大教高専協議会の原告282人が2012年11月27日、労働契約法10条に違反する就業規則の一方的不利益変更であるとして未払い賃金請求と損害賠償を求めた裁判において、原告らの請求を全て棄却する不当判決を言い渡した。
 国立高専機構が設置する国立高等専門学校は全国に51校あり、日本の未来を担う若者に技術分野を中心とした教育と、研究を行っている。国立高専は2004年4月に独立行政法人化され、非公務員とされた教職員6,000人には民間労働者と同様に労働法・労働契約法が適用されている。
 国立高専機構の賃金引下げは、国家公務員の臨時給与特例法(平均7.8%、一時金は9.77%)に準じて、組合の合意を得ず一方的に就業規則を変更し実施したものである。
 同様の賃下げに対する未払い賃金請求訴訟は、本件以外に福岡教育大学、高エネルギー加速器研究機構、山形大学、富山大学、福井大学、京都大学、新潟大学、高知大学、電気通信大学を相手におこなわれており、これらは、国立大学法人制度、独立行政法人制度のもとでの賃金決定及び労使関係のあり方を問う初めての全国的な裁判として歴史的な意義をもつものである。
 判決は、賃金減額により原告個人らが被る不利益は相当に大きいとし、原告らの生活やその子の教育及び高専教育に影響を与えたことは認めた。しかし、判決は、高専機構に営利企業と異なる責務や中期計画達成の必要性を過度に重視し、安易に高度な必要性を認定した。また、高専機構が行った予備費の増額や一学科300万円の物件費の留保などを口実にして安易に相当性も認めてしまった。さらに、団体交渉に関しても、高専機構の主張をうのみにし、高専機構が交渉を中途で打ち切ったことに関して一方的に組合に責任を転嫁している。以上によって、就業規則の不利益変更の合理性があると決めつけた。
 労働法・労働契約法の解釈と事実認定のいずれにおいても誤った判断に基づく判決であり、原告らの主張を退けたことは極めて不当である。
 全大教は、労働基本権が保障された独立行政法人制度・国立大学法人制度のもとで労使交渉による労働条件決定の原則を確立し、教職員の生活と権利を守り、教育・研究条件を充実させるためいっそう奮闘する決意を表明するものである。

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