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2015年03月03日

26本131ヵ所に不正 大分大元講師2人の論文

大分合同新聞(2015/02/28)

 2012年に発覚した研究不正疑惑を調べていた大分大学は27日、医学部の元講師2人の論文計26本で、同一画像の使用や実験の数値データの書き換えなど、131カ所に捏造(ねつぞう)や改ざんがあったと発表した。大学は2人に対し、不正が確認された論文の取り下げを求めている。国の補助金を使った研究もあり、返還も視野に関連を調べる。
 大学の説明によると、1997~2012年にかけて産科婦人科学講座にいた元講師(47)は、異なる論文でタンパク質の発現を見る画像を使い回し、細胞を刺激する化学物質の濃度の値を偽るといった不正が論文21本で123カ所確認された。02年ごろから不正があったとしている。
 元講師は事情聴取で画像の流用は認めたが「実験は誠実にした」と主張。だが大学は実験を裏付けるノートや資料が確認できなかったことなどを理由に、捏造や改ざんがあったと判断。「研究者としてのモラルが著しく欠如し、不正が常態化していた」と指摘した。
 08~13年まで麻酔科学講座にいた元講師(42)の論文5本にも8カ所で同じ画像やグラフを使う不正が確認された。講師は「データを取り違えた」と説明したが、大学は証拠がなく不正と判断した。
 2人とも調査報告書に異議は申し立てていない。2人は自主退職しているが大学は27日、産科婦人科学元講師が停職9カ月、麻酔科学元講師は停職3カ月の懲戒処分が相当とした。
 大学は明確な規定のない論文の保存期間を10年程度に定めたり、倫理教育の責任者を置く再発防止策を進める。会見した北野正剛学長は「社会からの信頼を大きく損ない、管理責任を重く感じている。不正防止を徹底したい」と話した。
 調査開始から2年以上たっていることについて、大学は「疑惑を一つ一つ調べるのに時間がかかった」と説明している。

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