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2015年03月17日

大学改革、国補助金で促進…淘汰加速も

毎日新聞(2015年03月16日)

 大学が国主導の「改革競争」の波にさらされている。文部科学省は、世界トップレベルを目指す大学には毎年数億円の資金を集中投入するなど補助金に「メリハリ」をつけて改革を促す動きを強化。大学入試改革でも国が目指す「多面的総合評価」の試験を導入する大学を財政支援する。今後、「改革競争」から脱落した大学の淘汰(とうた)が加速する可能性も指摘されている。【三木陽介】

 ◇最低評価は半減

 「運営費交付金が減る中、補助金を取りにいかないと経営が苦しくなる」。今年度から始まった文科省の補助事業「スーパーグローバル大学」に選ばれた国立大学の担当者はそう打ち明ける。国立大の収入不足を補うために国が出す運営費交付金は減少傾向。同事業は、世界トップレベルの大学やグローバル化を目指す大学に1大学当たり毎年4億?1億円を10年間投入する異例の厚遇策だ。採択の競争倍率は約3倍だった。

 一方、法科大学院は、司法試験の合格実績が低迷しているため、2015年度から、司法試験の合格状況や改革計画の内容によって補助金額を決める仕組みを導入。最も増額されるのは堅調な実績を誇る早稲田大で1・35倍増に。「最低評価」を受けた7校は半減されるため、募集停止や統廃合が加速するのは必至だ。

 今年度から始まった「大学教育再生加速プログラム」事業では、入試改革や「課題解決型授業」促進など五つの改革テーマごとに補助金を支給する。採択されると、最長で5年間補助金が受けられる。

 入試改革部門には8校から申請があり、お茶の水女子大(東京都)、岡山大、追手門学院大(大阪府)の3校が採択された。補助額は1校当たり年間約2000万円。文科省は、ペーパー試験の高得点者から順に合格者を決める「1点刻み」式から、面接や討論を活用した「多面的総合評価」式への転換を目指しており、入試改革を加速させるため補助制度創設も検討する。

 大学の実情に詳しい「主体的学び研究所」フェローの倉部史記さんは「国は大学の自主的改革を促してきたが、十分とは言えなかった。『体力』が厳しくなった大学の淘汰が進む可能性がある」と話している。


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