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2015年03月20日

北海道教育大学の教職員を支援する弁護団声明、「「裏口入学」の学長が、教授会の廃止までやるのか!」

■北海道教育大学の教職員を支援する弁護団
 ∟●声明「「裏口入学」の学長が、教授会の廃止までやるのか!」
 ∟●新聞記事

「裏口入学」の学長が、教授会の廃止までやるのか!

今、北海道教育大学で起きている、教育研究者の人権侵害と大学の自治破壊の
異常さを、北海道の未来は教育とともにあると考える全ての道民に訴えます

2015年3月18日
北海道教育大学の教職員を支援する弁護団

北海道教育大学は、本間学長のもとで何が起きてきたのか

 北海道教育大学の本間謙二現学長は、平成19年に就任したが、4年後の平成23年改選時には、現職にもかかわらず教職員による意向投票で対立候補に大敗したにもかかわらず(208対250)、自ら任命した委員が過半数を占める学長選考会議でそれを覆して、再選を果たした。
 「再選」後の任期は2年だが、平成25年の再再選時には、学長選考会議に「特に必要と認める場合」という例外規定を適用させ、意向投票を回避して「再々任」された。
  
 「再々任」の2年間の昨年10月、学長選考会議は意向投票を廃止した。言うまでもなく、教職員が大学運営に直接参加できる意向投票は、憲法23条で保障された学問の自由、大学の自治を体現するものである。2004年の大学法人化まで、教育・学問の自由に対する脅威は監督権を行使する文科省が第一だったが、法人化後は、「大学の自主・自律」の名の下に学長に強力な権限が集中し、学内権力もこれに加わることになった。
 こうして、教育大学は、企業の指揮命令関係と変わらない状況に変質し始めた。

この3月、さらに、教授会を実質的になくし、5キャンパスの長を学長任命へ
 
 本間学長は、今年1月29日付の「本学のガバナンス改革(案)」(以下「ガバナンス案」という)を発表した。その内容は多岐にわたるが、驚くのは、現在のキャンパス毎の教授会ないしは教授会機能を実質的に廃止するという内容である。
 まず、現在、5キャンパス(札幌、函館、旭川、釧路、岩見沢)に教授会があるが、これを廃止し、各教授会ごとに推薦され,それに基づいて学長が任命しているキャンパス長(副学長)を学長が自ら指名できる任命制に変えるという。
 そして、全学1つの「学部教授会」と大学院所属教員による「研究科教授会」の2つに統合しつつ、さらに、教授会構成員から1人に人数を絞り込んだ代議員による代議員会に代替できる仕組みにする。
 本間学長は、この案を僅か2か月で、この3月末までに成立させると言っている。
  
大学の自治を、本当に根こそぎ無くしてしまう

 北海道教育大学の教授会は、なぜ5キャンパスごとだったかといえば、本州とは異なる北海道の広大さと地域性にある。各キャンパス教授会が、各地域の拠点として、義務教育制教員の養成と地方赴任、生涯教育を含む地域人材養成、地域文化への寄与は計り知れない。
 各キャンパスの教授会の構成員には准教授、講師も含まれるが、全学1つとなれば教授に限られる。今回の改正法では、その教授でさえ、さらに人数を絞り込んだ「代議員会」に替えられるという。これは、実質的に教授会の解体にほかならない。
 教授会の職務は、本来、広く教育研究に関する事項を審議・決定することであり、教育課程に関することや学生の試験、留学など、あらゆる問題に関わる。それ故に、教員、学生のことをよく知る教育職員で構成されることが最も適切なことはいうまでもない。本間学長のガバナンス案によれば、全学1つの教授会は、審議の対象となっている教員や学生のことを知らないままに議題を消化することになり、形骸化は必至である。
 ちなみに、大阪教育大学は3教授会、東京学芸大学は4教授会が、単一学部の課程、学科等の別で置かれている。地理的にも内容的にも特長がある、5つのキャンパスをもち、それぞれが機能単位となっている北海道教育大学が、それぞれ教授会を持つことは自然であり、ガバナンス案は異質というほかない。

いま、教員は、教育者・研究者としての自由と良心を踏みにじられている

 本間学長のかつて所属していた旭川校で、最初の任期中に起きた、旭川校3名のアカハラ事件で、大学は最高裁まで争ったものの昨年2月敗訴が確定したのに、未だに復職解決をしていない。
 本間学長が平成23年学長選挙の意向投票の相手方候補の退職にあたり、その名誉教授称号授与関する審議で、本間学長になってから今まで行なったことがない投票に付し、多数に頼んで否決した。
 教職員大学院長の「一身上の都合」を理由とする辞任が、昨年9月に突然発表された。これは、同院長の研究者としての知見に基づいた新聞記事インタビュ-を、本間学長が問題視し、辞職の止むなきに追い込まれたと言われている。
 多様な価値観の存在とその切磋琢磨、違う意見や立場への敬意と尊重のないところに、真の教育は生まれない。
 いま、北海道教育大学は、本間学長の下で、自由と自治の深刻な危機にある。それは、北海道の教育の未来、教員養成の危機でもある。

5キャンパスの教授会をなくす、長を学長任命制にすることに反対し、教員
養成大学であるからこそ自由で民主的な運営を、という声を上げて下さい。

 私たち弁護団は、平成23年の北海道教育大学学長選挙無効確認訴訟の弁護団及び「道内の大学シンポジウム」(平成25年、26年開催)実行委員会を担当した弁護士である。私たちは、今、北海道教育大学で起きていることは、憲法違反の重大な人権侵害、自由と民主主義の侵害であり、問題の深刻さを広く道民に訴えることが必要だと考えた。大学や教育現場において自由が奪われていく過程は、人権抑圧と戦争への道、貧困と格差への暗い社会への道にほかならない。

 道民の皆さん 教育関係者の皆さん、どうか北海道教育大学で起きていることを知って下さい。そして、学長に批判と抗議の声を集中して下さい。頑張っている教職員の皆さんを応援して下さい。


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