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2015年03月25日

自由法曹団、労働者派遣法大改悪法案の3度の国会提出に抗議し、廃案を要求する声明

自由法曹団
 ∟●労働者派遣法大改悪法案の3度の国会提出に抗議し、廃案を要求する声明

労働者派遣法大改悪法案の3度の国会提出に抗議し、廃案を要求する声明

1 安倍内閣は、2015年3月13日、労働者派遣を無期限に使用できるようにする労働者派遣法「改正」案を閣議決定し、同日、国会に提出した。これは、2014年の通常国会と臨時国会で2度廃案となった「改正」案を一部修正したものであるが、「生涯派遣・正社員ゼロ」法案という改悪法案の構造は何ら変更されていない。

2 3度目の「改正」案(本「改正」案)は、「厚生労働大臣は、労働者派遣法の運用に当たっては、派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とするとの考え方を考慮する」との規定を付け加えている。
 しかし、本「改正」案では、「永続派遣」の仕組みは従来の「改正」案のまままったく変更されていない。本「改正」案では、有期雇用派遣労働者については、派遣先の事業所単位では、3年ごとに過半数労働組合もしくは過半数代表の意見を聴取しさえすれば、労働者派遣を延長できることになっている。聴取した意見が反対意見であっても、延長する理由を説明しさえすれば労働者派遣を延長することができるのであり、これでは永続派遣の何の歯止めにもならない。派遣先の組織(課等)単位では、個人の派遣労働者に上限3年の期間制限があるが、派遣先は、派遣労働者を3年で入れ替えれば、組織(課等)単位でも永続的に派遣労働者を使用することができる。さらに、「改正」案では、無期雇用派遣労働者については、派遣期間制限は一切ない。
 以上のとおり、本「改正」案は、「運用に当たっては、派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とするとの考え方を考慮する」との規定に反して、派遣期間制限を廃止し、派遣労働者の永続使用と労働者派遣による常用代替を可能にしており、とうてい容認できない。

3 本「改正」案は、「雇用安定措置の『派遣先への直接雇用の依頼』を省令ではなく法律で規定する」、「雇用安定措置の『新たな派遣先の提供』が派遣労働者の能力、経験等に照らして合理的なものに限る旨を法律で規定する」との修正を加えている。しかし、この修正によっても、「派遣先の直接雇用」や「新たな派遣先での派遣就業」の保障は何らなく、雇用安定措置としての実効性はない。
 逆に、本「改正」案には、「正社員と派遣労働者の数の動向等を踏まえ、労働者の能力の有効発揮と雇用安定に資する雇用慣行が損なわれるおそれがある場合、新法の規定について速やかに検討を行う」との労働者派遣により常用代替が促進されることを予想し、懸念することを示す附則が付け加えられている。

4 本「改正」案は、1度目、2度目の「改正」案と同様、派遣期間制限を廃止し、現行法の直接雇用(努力)義務を定める規定を縮小、廃止している。これらの内容を見る時、「改正」案が常用代替防止原則と「派遣は臨時的・一時的業務に限る」との原則を廃棄するものであることは明白である。
 自由法曹団は、労働者派遣法大改悪法案の3度の国会提出に抗議し、その廃案を強く要求し、登録型派遣・製造業派遣の全面禁止、業務単位での派遣期間制限の厳格化、派遣労働者の派遣先の正社員との均等待遇等の労働者派遣法の抜本改正を要求するものである。

2015年3月24日
自由法曹団
団長 荒井 新二

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