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2015年05月12日

名古屋女子大組合副委員長不当解雇事件、2審も勝訴判決!

■谷口教授を支援する会ニュース第29号より

2審も勝訴判決!

 4月30 日(木)午後1時10分より、名古屋高等裁判所 1001 法廷において、谷口教授裁判 控訴審判決の言い渡しがありました。
 まず学園側の控訴が棄却され、一審判決が維持されました。谷口教授側が起こした附帯控 訴については、一審に追加して請求した2014年度の夏期および冬期一時金が請求額どおり に認められました。また学園及び理事長(当時)の不法行為に対する慰謝料の増額は認めら れず、一審判決の額(慰謝料 300 万円、弁護士費用 30 万円)に据え置かれました。
 なお判決の言い渡しには、日本学士院、鈴鹿医療科学大学、中京大学、中日本自動車短大、 東海私大教連の関係者6名が応援傍聴に足を運んでくださいました。ありがとうございます。

裁判の争点と裁判所の判断

 一審判決では争点が 10 点にまとめられていましたが、控訴審判決では、3回の懲戒処分 と配転命令および教授から助手への降任処分が一つの争点として集約され、また、ブログに ついても甲事件(解雇事由としての名誉毀損)と乙事件(損害賠償請求根拠としての名誉毀 損)が一つの争点として集約されました。それゆえ事件全体が5つの争点にまとめられまし た。以下に裁判所の判断を要約します。

(1)本件特命プログラムは違法か
 特命プログラムとして授業改善のための業務命令を出す必要性があったとは認められ ず、各業務は嫌がらせであったと考えられる。そして被控訴人(=谷口教授)が大学組合 の副委員長であったことから不利益な取扱をするものと認められ、不当労働行為として違 法であると認められる。

(2)本件の各処分の有効性
 懲戒処分1は懲戒事由がないか、そうでないとしても懲戒権を濫用するものとして、違法・無効であると認めることができる。
 懲戒処分2については、大学組合活動を抑圧しようとする意図の下にされたものとして、違法・無効であると認められる。 配転命令については、学園が仮処分命令を回避して不当な業務命令を継続することを目的としてなされたものであると認めることができ、人事権を濫用するものとして違法・無 効である。
 降任処分については、教授から助手に後任すべき合理的理由はなく、違法・無効であると認められる。 懲戒処分3については、違法・無効であると認められる。

(3)本件ブログの記事掲載は違法か
 ブログは、控訴人学園の抱える問題を明らかにすることを目的として記事を掲載してい たものと認めるのが相当であり、公益目的ということができる。またブログに掲載された 事実については、公共の利害に関する事項であって、被控訴人の実体験に基づく真実であ ると認められる。したがって、各記事については、学園の名誉や信用を毀損するものとい えないか、又は、毀損するものとしても、違法ということはできない。
したがって、学園の損害賠償請求は理由がない。

(4)本件解雇の有効性
 解雇事由としてのブログの記事掲載行為は口実にすぎず、実際は、被控訴人が大学組合 の副委員長として活動していることを理由として解雇しようとするものであると認めら れる。
したがって解雇権の濫用で、違法・無効である。

(5)控訴人らの不法行為責任の有無
 被控訴人の自尊心を傷つけ、精神的圧迫を加え、大学教授としての本分である研究や教 育活動を奪い、違法な懲戒処分・降任処分・解雇を行ったうえに、解雇について学園の全 職員に学内メールで知らせるなど、学園の一連の行為は人格権や名誉を著しく侵害するも のであって不法行為に当たり、学園の行為の執拗さや行為の悪質性を考慮すれば、精神的 苦痛に対する慰謝料は300万円、弁護士費用は30万円と認めるのが相当である。
 控訴人越原一郎は一連の行為に理事長又は学長として深く関与し、その指示により不法 行為が行われたものと認められ、学園と連帯して不法行為責任を負うものと認められる。


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