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2015年06月04日

東京私大教連、労働者派遣法改正案の廃案を要求する声明

東京私大教連
 ∟●労働者派遣法改正案の廃案を要求する声明

労働者派遣法改正案の廃案を要求する声明

東京私大教連中央執行委員会
2015年5月30日

 現在、労働者派遣法改正案(以下、改正案という)が国会で審議されています。改正案は、昨年の通常国会と臨時国会に提出され、国民の反対のなか2度とも廃案になっており、今回で3度目の法案提出です。同じ内容の法案を3度も国会に提出し成立をめざすこと自体、議会制民主主義制を踏みにじる暴挙です。

 労働者派遣制度は、「臨時的・一時的なものに限る」「常用雇用の代替を防止する」ことを原則として、職業安定法の例外として認められてきた制度です。この原則があるため、現行法でも、企業がおなじ業務で派遣を使えるのは原則1年間、最長でも3年間に制限されています。ところが今回の改正案は、企業が派遣労働者を受け入れることができる制限を、例外としてきた専門業務の区別とともになくして、企業がどの業種でも何年でも派遣労働者を受け入れられるようにするものです。したがって、企業は派遣労働者を3年で「取り換える」だけで、永続的に派遣労働者を受け入れ、使用できるようになります。改正案は、常用代替防止の原則を投げ捨て、派遣労働者の不安定さはそのままに、企業が事実上、期間の際限なく派遣を受け入れ続けることができるようにするものです。

 また、改正案の施行期日を 2015 年 9 月 1 日と定めていますが、これは、2015年10月1日から施行される現行の労働者派遣法の「労働契約申し込みみなし制度」の適用回避をねらう財界の意向を受けたものです。現行法における「労働契約申し込みみなし制度」は、派遣労働者の派遣可能期間の違反など違法派遣があれば、派遣先企業が労働者に直接契約を申し込んだとみなす制度で、労働者を救済するために設けられた規程です。しかし、今回の改正案が成立すると、派遣期間の制限や業務規則が撤廃されるため、この制度の適用がほとんどなくなることが予想されます。このような救済の規程を、施行が迫った 1 ヵ月前に改変することは、適用回避のためと解さざるを得ず、到底許されることではありません。

 改正案は、直接雇用を減らし、企業の都合で労働者を使い捨てにできる不安定雇用を蔓延させるもので、生涯派遣を強要し、正社員をゼロにする日本の雇用を破壊する重大な法案です。私たちは次世代の労働者を教育する私立大学の教職員組合として、このような雇用不安に満ちた社会へと若者を送り出す事はできません。労働者派遣法案廃案を強く求めます。

以 上

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