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2015年06月05日

政府 新たな“教育機関”設置の方針

日テレ(2015年6月4日)

 政府は経済成長に貢献できる即戦力となる人材の育成を目指し、ITなどの技術の専門家を育成する新たな教育機関制度を作る方針を固めた。

 安倍首相「今後は政府を挙げて 人材改革に取り組んでいきます」「実社会のニーズに合わせた実践職業教育を行う、新たな高等教育機関制度を創設し、学校間の競争を促していきます」

 政府は今後、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関を制度化して、企業の即戦力となる知識と技能を身につけた人材の育成を目指すことを決め、産業競争力会議で報告した。

 政府が設置を目指す「新たな高等教育機関」では、変化の速い産業界のニーズに応じ、ITの技術やサービス業などで活躍できる人材の育成を念頭にカリキュラムを構築し、既存の大学からの転換も認める方針。一方で新たな教育機関の設置により、高校生の進路の拡大や社会人の学び直しにも対応できるようにする考え。

 政府は今後、文部科学省の審議会などで制度の詳細を検討し、2019年度からの開学に向けて法律の改正などを行う方針。


「大学を「職業教育学校」に…19年度実施方針」

■読売新聞(2015年6月4日)

 政府は、実践的な職業教育や技能訓練を行う高等教育機関として「職業教育学校」を設置する方針を固めた。高校卒業後の進学や、社会人の専門知識の習得を想定している。学校は新設せず、希望する既存の大学や短大などに職業教育学校へ転換してもらう考えだ。4日の政府の産業競争力会議(議長・安倍首相)で原案が示され、月内にまとめる成長戦略の柱とする。

 中央教育審議会で詳細を検討する。学校の種類などを定める学校教育法の改正など、必要な法整備を来年度中に行う。2019年度からの実施を目指す。少子化が進む中、学生の確保に苦しむ私大や短大などの選択肢として制度化する狙いもある。大学が学部の一つとして併設できるようにする。

 企業は社員教育に十分な時間をかけることが難しくなっているが、大学は一般教養の学習や研究重視で、企業の求める即戦力を育てるには限界がある。また、社会人がより高度な知識や技術を習得する場を望む声も高まっている。

 カリキュラムの編成には産業界の意見も取り入れ、情報技術(IT)の活用で業績を向上させたサービス業の取り組みや、新興企業での事業の企画・立案の手法など、実例を中心に学ぶようにする。また、学校側は実際に企業を訪問するなど、自由に工夫を加えられるようにする。

 新たな学校の卒業生には、既存の大学の「学士」に代わる新たな学位を認定する。4年制の大学などとは異なって修業年限は設けず、集中して勉強すれば半年から1年程度で卒業できるようにする方向だ。

 職業教育学校に移行するかどうかは、それぞれの大学や短大などが判断するが、在職する教員らの反発が予想される。また、実学の重視で教養教育が軽視されかねないとの批判も出そうだ。実務経験のある教員をどう確保するかなども課題になりそうだ。

 政府は今年の成長戦略で、人材育成を重要課題の一つとして掲げており、すでに国立大学の改革案もまとめている。


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