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2015年06月26日

自由法曹団、衆議院における派遣法「改正」案の強行採決に抗議し、廃案を要求する声明

自由法曹団
 ∟●衆議院における派遣法「改正」案の強行採決に抗議し、廃案を要求する声明

衆議院における派遣法「改正」案の強行採決に抗議し、廃案を要求する声明

1 労働者派遣法「改正」案は、2015年6月19日、衆議院厚生労働委員会と本会議で、相次いで強行採決され、自民、公明両党などの賛成多数で可決され、参議院に送付された。 しかし、労働者派遣法「改正」案の審議は、極めて不十分である。①「改正」案は、業務単位の期間制限をなくし、直接雇用や正社員への道を奪うのか、それとも正規雇用を増やすのか? ②「改正」案の個人単位の期間制限は、派遣労働者の首切り自由をもたらすのか、それとも正社員化を促進するのか? ③「改正」案の均衡待遇の推進やキャリアアップ措置は、直接雇用につながるのか? ④「改正」案の4つの雇用安定措置は、実効性があるのか? ⑤施行予定日の1か月前に、「業務単位の期間制限違反の場合の労働契約申込みみなし制度」をなくし、多数の派遣労働者の直接雇用へ移行する権利を奪うことは正義に適うと言えるのか? 等々、解明が求められている問題点は、多数存在する。
 ところが、衆議院厚生労働委員会及び本会議では、6月19日、上記の問題点の審議も解明も極めて不十分なまま、「改正」案の採決を強行したのである。

2 自民、公明、維新の党は、同じ6月19日、衆議院厚生労働委員会と本会議で、「労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律」(「同一労働同一賃金推進法」)を、当初案の「派遣労働者について、待遇の均等の実現を図る」を「派遣労働者について、均等な待遇及び均衡のとれた待遇の実現を図る」に、「法制上の措置については、施行後1年以内に講ずる」を「施行後、3年以内に法制上の措置を含む必要な措置を講ずる」に修正の上、賛成多数で可決した。
  同一労働同一賃金推進法は、上記修正により、均等待遇原則を骨抜きにされ、派遣労働者の処遇改善に役にたたないものとなっている。

3「改正」案は、一方で、直接雇用と結びついている「業務単位の期間制限」をなくし、他方で、派遣労働者を入れ替えれば、永久に労働者派遣を利用することができる「個人単位の期間制限」を導入している。しかも、「改正」案の「個人単位の期間制限」は、直接雇用と結びついておらず、派遣先に派遣切り自由の権限を与えている。このような仕組みと機能からして、「改正」案は、「生涯派遣・正社員ゼロ」を強要し、「派遣労働者の首切り自由」を認める法案である。審議を尽くせば、「改正」案が「生涯派遣・正社員ゼロ」法案、「派遣労働者の首切り自由化」法案であることは、自ずと明らかになることである。
 このような中で、いま、全国の派遣労働者は、「改正」案によりますます不安定な働き方を強いられることについて、不安や反対の声を上げ始めている。

4 自由法曹団は、衆議院厚生労働委員会と本会議における労働者派遣法「改正」案の強行採決に強く抗議する。自由法曹団は、参議院において、徹底審議を尽くし、問題点を解明し、「改正」案を廃案にすることを強く要求するものである。

2015年6月25日

自由法曹団
団長 荒井 新二

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