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2015年07月09日

龍谷大学教職員有志、「国会で審議されている安全保障関連法案の撤回を求める声明」

国会で審議されている安全保障関連法案の撤回を求める声明

国会で審議されている安全保障関連法案の撤回を求める声明

2015年6月24日 龍谷大学教職員有志

 国会では現在、安全保障法制に関する審議が行われています。これは、昨年7月1日の日本国憲法 9 条の解釈変更に関する閣議決定(集団的自衛権の容認)を踏まえ検討されてきたものがまとめられ、先月(5 月)15 日に「国際平和支援法案」と「平和安全法制整備法案」の 2 本立てで国会に提出されたものです。

 法案は、従来の憲法解釈を一内閣の判断によって変更し、集団的自衛権の行使を容認しようとするものです。法案が成立すれば、日本に対する武力攻撃がなくても、海外にて武力を行使することが可能となります。また自衛隊が派遣され、他国の軍隊に対して行う「後方支援」を拡大することも盛り込まれていますので、自衛隊員はこれまでのイラク派遣等よりもはるかに危険な状況におかれます。

 憲法 9 条の改正をめざす安倍晋三内閣は当初、憲法改正について定めた 96 条の発議要件を引き下げ、憲法を変えやすくすることを目論みました。これに対しては国民からの厳しい批判が寄せられ、この企てはとん挫しました。そこで、考え出されたのが、政府によって憲法解釈を変更して、実質的に憲法を変えてしまうというやり方です。

 憲法は本来、国の権力者からわたしたちの人権を守るためにあります。また、国の権力者は簡単に憲法を変えることはできないことになっています。このような点で、いま安倍内閣が進めようとしているのは、立憲主義の破壊に他なりません。

 先の憲法審査会では、参考人として意見を述べた 3 人の憲法学者いずれもが、法案は違憲であることを指摘しました。国民の世論も多くが「反対」であり、国民に対する説明が不十分だとして、今国会中での法案成立には慎重な立場が大多数を占めています。しかし政府は国会会期の延長を強行し、強引に法案を成立させようとしています。

 わたしたちは龍谷大学に働き、若者(学生)の教育と未来に責任を負う立場から、法案の撤回と立憲主義にもとづいた政治の実行を求めます。それは、以下の 4 つの理由からであります。

 まず、法案は日本国憲法の立憲主義と平和主義を破壊するものであるからです。そして、この法案が成立すれば、学問の自由が制約され、大学における教育や研究が軍事目的のもとにおかれるからです。さらに、第 2 次世界大戦に対する痛苦の反省から日本がめざしてきた平和国家の道を閉ざし、「戦争する国」のもとで若者たちを戦争に参加させることとなるからです。最後に、龍谷大学は「建学の精神」に基づく育成すべき人間像の一つとして、「人類の対話と共存を願う『平和』の心」を謳い、それを実践する大学であるからです。

 今年は「戦後 70 年」にあたります。戦争の経験をもつ方々が少なくなっていくもとで、大学に働くものとして平和のための教育、国際理解のための教育の推進を誓って、わたしたちは、国会で審議されている安全保障関連法案の撤回を求めます。


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