研究者の地位と権利を守るための全国的ネットワークをつくろう!

2015年07月16日

酪農学園大、学長を解任 理事会決定

毎日新聞(2015年07月15日)

 学校法人酪農学園(江別市、麻田信二理事長)は14日、札幌市内で理事会を開き、干場信司・酪農学園大学長(65)について同日付の解任を決めた。麻田理事長は決定後の記者会見で、退職教員の補充遅れなど「職務の怠慢が目立った」と解任の理由を説明した。一方、2017年3月まで任期を残す干場学長は「納得できない」と、法的措置も含めて対応を検討する。

 麻田理事長によると、干場学長にはこのほか▽新入生を800人、確保するよう申し入れたのに従わなかった▽元常務理事への名誉毀損(きそん)の裁判を起こした▽学内設備のバイオガスプラントの無断廃棄??などの行為があったという。5月には学内監査で「円滑な大学改革が進められるよう、新学長の選定を理事会で検討してほしい」と指摘され、解任はこれを踏まえた、としている。

 一方、干場学長は解任決定後に取材に応じ、「理事長のやり方は上意下達で専制的だ」と批判した。干場学長はこれまでも「理事長は教育の現場に介入し、建学の精神であるキリスト教に基づく教育を後退させた」と主張していた。同学園は新学長の選考委員会を設置し、早ければ9月中にも選出する。それまでは麻田理事長が学長職務代理者を務める。【千々部一好】
==============
 ■解説

 ◇理事会と教育現場に摩擦

 酪農学園大の学長解任問題の背景には、大学のガバナンス改革を掲げて4月に施行された改正学校教育法がある。同法は、従来「時間がかかる」と言われていた大学の意思決定のスピードを上げることなどを目的に改正された。一方で、教授会の役割を弱め、最終的な意思決定機関として理事会の役割を強くしたことから「大学の自治が十分に守られない」などと反発は強い。今回のような「理事会と教育現場」の摩擦が今後、多発する懸念もある。

 同大は同法施行を前に、学長選定手続きを改正。教職員の投票による選出から、理事長を委員長とする選考委員会が決める形に変更した。さらに理事会が学長を解任できる条項も新設し、権限を強めていた。


|