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2015年07月22日

名古屋学院大学平和学研究会、安全保障関連法案に反対する声明

名古屋学院大学平和学研究会

安全保障関連法案に反対する声明

 現在国会で審議されている安全保障関連法案は、主として集団的自衛権を具体化したものであり、日本と世界の将来に暗い影を投げかけています。
 これまで集団的自衛権の名の下に行われた戦争の多くは、2003年のイラク戦争を始め、侵略戦争でした。イラク人医師オマール・ムハンマド・ファルク・アフマドさんは、昨年本学で行われた講演の中で、「戦争に参加するという考えから距離をとって下さい。戦争に参加、協力するということは、多くの子どもを殺すことです。彼らの住居を奪い、路頭に迷わせ、障がいを負わせることです。子どもたちから父母を奪い、飢えや病に苦しませ、教育の機会と幸福を奪うことです。戦争を許さないということが、飢えや貧困を減らすことにつながり、大きな国際協力となります。」と学生に語りかけました。
 名古屋学院大学は、建学の精神として「敬神愛人」を掲げています。「敬神」とは、人間存在を最後まで肯定し、私たち一人ひとりを見守り導く神を敬うこと。「愛人」とは、この世の中で小さくされた者、社会の隅に追いやられた者を探し出し、自分の隣人として愛することです。私たちは、イラク戦争のような、この世の中で小さくされた者、社会の隅に追いやられた者を生み出すことに加担したくはありません。また、日々接している教え子達を戦場に送りたくはありません。
 私たちは、オマールさんの言うように、戦争から距離をとり、構造的暴力の除去を志向する言葉の本当の意味での積極的平和主義を選びます。
 加えて、憲法学者の大半がこの法案を違憲であると考えています。この法案を強行に成立させることは、立憲主義の崩壊を意味すると言っても過言ではありません。近代立憲主義は、かけがえのない一人一人の人権を保障するために生み出されたものであり、政府の統治は憲法に基づかなければならないという普遍的な原理です。これを捨て去ることは人類の歴史における重大な退歩です。
 このような声明に対して、大学における「政治的中立」を盾に反対する意見があるかもしれません。しかし、「政治的中立」の意味について、立憲主義、民主主義という普遍的な原理に基づいて今一度考えてみるべきではないでしょうか。
 日本国憲法第12条は、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。」と定めています。真理探究の場たる大学はこの自由及び権利を基に成り立っており、その土台が崩されようとしているときに沈黙すべきでしょうか。私たちは、この法案に反対する多くの市民とともに、この自由及び権利を保持する努力を続けたいと思います。それが、本学初代学長福田敬太郎先生が表現された「幽玄啓明」の精神、すなわち、「奥深くて計り知れない真理を開き示す」という信念に沿うものと考えます。
 私たちは、学生や教職員を含む本学構成員はもとより、社会に対して本学や大学一般が負うべき責任を果たすために、ここにこの法案に反対します。

2015年7月17日
名古屋学院大学平和学研究会
阿部太郎(経済学部)
飯島滋明(経済学部)
大宮有博(商学部)
菅野光公(外国語学部)
佐伯奈津子(国際文化学部)
佐竹眞明(国際文化学部)
西寺雅也(経済学部)

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