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2015年07月25日

自民党の高大接続改革小委、次々意見聴取

全私学新聞
 ∟●自民党の高大接続改革小委、次々意見聴取

自民党の高大接続改革小委、次々意見聴取
中高連や私大団体連等を対象に
改革趣旨に賛同も 慎重な審議等の要請

 自由民主党の文部科学部会「高大接続改革に関する小委員会」(委員長=小坂憲次・参議院議員)は3月19日に初会合を開いて以降、4月15日に第2回会合を開き文部科学省の前中央教育審議会長で高大接続システム改革会議座長の安西祐一郎・独立行政法人日本学術振興会理事長から「高大接続システム改革とその意義」について意見聴取を行い、5月20日の第3回会合では日本私立中学高等学校連合会、一般社団法人全国高等学校PTA連合会、ベネッセ教育総合研究所の3団体からヒアリングを行った。

 5月27日の第4回会合では、一般社団法人国立大学協会、日本私立大学団体連合会、一般社団法人公立大学協会の大学3団体から高大接続改革に関して意見聴取を行っており、6月3日には有識者からヒアリングを行い、それ以降、意見の集約を図っていく予定。

 このうち第3回会合では、中高連の吉田晋会長(富士見丘中学高校理事長・校長)が改革の方向性に賛同しながらも、「大学入試改革は子供たちの将来を大きく左右する。子供たちの立場で検証と慎重な審議を」と要請、学習指導要領改訂に先立ち新テスト論議が行われていることについて慎重な手順での改革を要望した。また、中高連の長塚篤夫常任理事(順天中学高校長)も教育の実態に合わせたスケジュール等を要請した。

 高P連の佐野元彦会長も、「具体的なものが見えてこない。今、霧の中。保護者に不安感がある」とし、新設予定の二つの新テストの関係性の整理、見込まれる教育の私費負担拡大への手当ての必要性を指摘。ベネッセ教育総研は平成25年末に全国の高校長や大学学科長を対象に実施したアンケート結果を報告したが、テストに振り回されることへの不安が反映していることなどを報告した。

 また、第4回会合では、国大協の里見進会長(東北大学長)は、国立大学の個別試験では既に論理的思考力・判断力・表現力を問う記述式・論述式の学力検査に加え、面接、小論文等も課し、中教審の知識だけ、1点刻みのとの批判は必ずしも当たらないことなどを指摘、高校生や教育関係者に過度な負担を与えないよう、改革に当たっては慎重な対応、試行期間の必要性を強調した。

 私大団体連の清家篤会長(慶應義塾長)は、中教審の高大接続改革等に関する答申の基本理念については同感とした上で、個々の私大の「多様な入試制度は、多様な学生選抜という高大接続の理念からも最大限維持されるべきであり、新テストを一律に活用するということになれば、理念と実態とが大きく矛盾することとなる」と指摘、入試制度改革のプラス・マイナスを考慮しつつ慎重な対応、十分なリードタイムの確保を要請した。

 公立大学協の清原正義会長(兵庫県立大学長)は、高大接続システム改革会議で検討中の「高大学入学希望者学力評価テスト」(仮称)を複数回実施した場合、大学の実施業務負担が更に過大となるため、慎重な制度設計を求めたほか、アドミッション・オフィスの整備充実なくして入試改革は前進しないとして、必要な手当ての先行実施を要請した。大学団体に対しては小委員会出席の議員から社会のニーズへの対応の遅れを指摘する意見も聞かれたが、里見会長は「言われる程(国立大学は)悪い教育をしてきた訳ではない」と、清家会長は短期的な対応ではなく、学問を通じて学生に自分の頭で考える力を育てていく重要性を指摘、清原会長は大学、高校、社会が連携して人間力の育成をしていく必要性を強調した。


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