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2015年07月25日

北海道私大教連、声明「学校法人酪農学園理事会による公選学長解任事件を糾弾する」

■北海道私大教連
 ∟●学校法人酪農学園理事会による公選学長解任事件を糾弾する

学校法人酪農学園理事会による公選学長解任事件を糾弾する

北海道私立大学教職員組合連合執行委員会
(道私大教連)

先般報じられた学校法人酪農学園(北海道江別市。以下「同法人」)の麻田信二理事長らによる、酪農学園大学(以下「同大学」)の学長解任は、昨年秋に改定されたばかりの「学校教育法」を悪用した全国的にも類を見ない異常な事件である。同大学における理事会の独裁的な行為は、大学の健全な運営と民主的な発展を期待する学生や父母、教職員、国民・道民の立場と決して相容れないものであり、私たちとしても看過できない。厳にこれを糾弾し、同法人と大学を早期に正常化、民主化するよう強く求めるものである。

1「改正学校教育法」への悪乗り

 2014年秋に学校教育法が「改正」され2015年4月施行が決まるや否や、同法人理事会は同法の改正趣旨と全く無関係の学内規則改悪に乗り出し、教授会の異議を潰して強行した。これまで公選されてきた学長等の教学役員は事実上の理事会指名とし、従前の教授会相当組織を廃して骨抜きにした。このたび同法人理事会が解任することとした学長は、教学組織が民主的に選んだ最後の学長となるが、任期の途中でちぐはぐな解任理由を並び立てて強権を以って解任した。
 (そもそも、先の学校教育法「改正」側の本来の意図は、学長の権限強化、明確化を促すことにあった。)

2.「解任理由」会見の異常性

 7月14日、理事長は札幌市内のホテルを会場に取って学長解任を記者発表している。解任理由の多くは同学長の個人攻撃に等しいものであった。報道等によれば解任の主たる事由として、①同学長が教員出身の学園評議員であった際に他の評議員らとともに評議員会で配布した文書の内容に端を発する民事訴訟判決(5月11日に一審判決されるも現在、高裁係争中である)で「不法性」が認められたこと。②研究・実験設備の一部を大学へ届け出ずに処分したこと。(同学長は既に個人弁済している)。③2015年度の入学生について理事会の指示に従わず、追加合格を認めなかったことで学納金に損害を与えた。
など数点が列挙された。しかし、これらを任期途中の公選学長の解任理由とするには甚だしい無理がある。社会規範によらない独断専行であると評価せざるを得ない。

3.同法人・大学と道内大学の改革のために

 昨今、特に北海道内においても高等教育の将来的な在りようをめぐって様々な問題が噴出する中、大学や私立学校の改革が重要となっているのは事実である。その過程では見直されるべき従前の運営システムや慣行が大いに改革されるべきだが、法改正に悪乗りし、構成員(教職員・学生・卒業生)の意見を封じて力任せで「改革」を叫ぶ同法人のやり方は時代錯誤も甚だしく、むしろ改革を「後退」させる暴挙である。
 特に、大学の改革では学問、言論の府として自律的姿勢の堅持が求められる。そのような自治・自律を削ぎ落とす一連の行為は大学としての自殺行為に他ならない。

 私たちは道内の大学人で構成する教職員組合として、酪農学園大学での今回の事件に深い憂慮を表明する。同時に、この問題が全ての大学・私学にとって決して対岸の火ではない地域の重要な教育問題にあたることを自覚しながら、改めて同法人理事会・理事長に対し、学長解任をただちに撤回し、事態を収拾させるよう強く求める。
 私たちは道内すべての高等教育機関を民主的で地域のニーズに相応しい公器として発展させるために努力を惜しまない決意であることを重ねて表明するものである。

以 上

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