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2015年07月28日

大阪市立大学教職員有志、声明「私たちは安全保障関連法案に断固反対し、即時廃案を求めます」

安全保障関連法案に反対する大阪市立大学教職員有志の会

私たちは安全保障関連法案に断固反対し、即時廃案を求めます。

 多数のひとが反対する安全保障関連法案が衆議院で採決されました。参考人として国会で意見を述べた憲法学者が相次いで違憲と判断したこの法案に対して、多くの人々が反対の声を挙げています。私たちは、立憲主義を擁護する立場から、そして国際平和と民主主義を守る立場から、この法案に反対します。

 ある時点の選挙で多数となった党派が、すべての民意を汲みとったことになるわけではありません。私たちは、私たちの過去の世代の過ちと犠牲を直視し、まだ見ぬ未来の世代にたいして責任をもった判断を行うべきであると考えます。今回の安全保障関連法案の審議と採決は、私たちの過去と未来を見据えて十分に議論した結果であるとは到底いえない経過をたどってきました。

 日本は、侵略戦争と植民地支配により甚大な被害と耐えがたい惨状を引き起こした歴史を有しています。未だ日本は、自らの加害について十分な反省と償いをなし得ているとはいえません。安倍晋三政権は、過去に目を閉ざしつつ、今まさに戦争を可能とする法制度の確立に突き進もうとしています。

 現在、教育の場では、多様なルーツを持つ学生たちが席を隣にして学んでいます。集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法案の成立は、まさにこの学びの場を敵対の場へと変えてしまうものです。私たちは、学生たちが多様な他者とともに生きる場を生み出す教育に携わるものであり、日本と世界の将来を担う若者を戦争の場へ送り出すことを許す法案に賛同することはできません。

 過去に侵略戦争と植民地支配を引き起こした各国のなかで、不戦を誓う憲法九条を掲げているのは、日本だけです。集団的自衛権の行使容認を核に据えた安全保障関連法案は、70年近くにわたり日本の平和を守ってきた憲法を空洞化させるものです。

 日本国憲法の精神はけっして古びてはいません。人権宣言の理念は200年以上ものあいだ、私たちの道標として参照されつづけています。私たちは、二度と戦争を起こさないと先達が誓った日本国憲法とその理念を、後世に伝えていく責任を負っています。

 私たちは、日本国憲法の理念に反する安全保障関連法案を断固拒否します。

2015年7月

安全保障関連法案に反対する大阪市立大学教職員有志

発起人(五十音順)

青山 和司(経営学研究科)
伊地知 紀子(文学研究科)
植松 千代美(理学研究科)
柏木 宏(創造都市研究科)
金信 泰造(理学研究科)
川野 英二(文学研究科)
小伊藤 亜希子(生活科学研究科)
佐賀 朝(文学研究科)
新ヶ江 章友(創造都市研究科)
土屋 貴志(文学研究科)
中瀬 哲史(経営学研究科)
西垣 順子(大学教育研究センター)
稗田 健志(法学研究科)
野田 昌吾(法学研究科)
福島 祥行(文学研究科)
古久保 さくら(創造都市研究科)
増田 聡(文学研究科)
三島 聡(法学研究科)
村田 正博(文学研究科)
安竹 貴彦(法学研究科)

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