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2015年08月02日

国立大学の人文社会系見直しで激論 京都でシンポ

京都新聞(2015年08月01日)

 下村博文文部科学相が国立大学に人文社会系学部の組織見直しを求める通知を6月に出したことを受け、今後の高等教育のあり方を考えるシンポジウムが1日、京都市下京区のキャンパスプラザ京都で開かれた。文科相補佐官の鈴木寛東京大教授が通知の内容を解説、国立大学関係者は問題点を指摘した。

 鈴木教授は、通知の内容を人文社会系の軽視ととらえる見方について「誤解だ」と否定。その根拠として、通知の基になった「国立大学のミッション(社会的役割)の再定義」という文書では、人文社会系を重視し、充実の方向性を打ち出していることを挙げた。また、人文社会系の大きな課題として、学生数に対して教員数が少ないことを説明し、「人文社会系の教育の質をもっと高めることが必要だ」と指摘した。

 一方、愛媛大の松本長彦前副学長は「現場には人文社会系をつぶせとしか読めない。もっと文言を工夫してほしかった」と苦言を呈した。奈良女子大の小路田泰直副学長は「人文社会系を縮小するつもりはない。理工系の人材を育てるためにも人文社会系は必要だ」と強調した。

 関西の国公私立大学の教員らでつくる高等教育研究会の主催。大学関係者ら約50人が参加した。


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