研究者の地位と権利を守るための全国的ネットワークをつくろう!

2015年08月03日

安全保障関連法案に反対するフェリス女学院大学教員有志の会、声明

安全保障関連法案に反対するフェリス女学院大学教員有志の会

「汝、殺すなかれ(出エジプト記20章、モーセ「十戒」より)」。ひとがお互いに殺し、殺され合う場に駆り出されないように私たちは、安全保障関連法案を廃案にすることを求めます。

 第二次世界大戦終結後70年の今、私たちは重大な岐路に立っています。安倍晋三政権は新法の「国際平和支援法」と10本の戦争関連法を改悪する「平和安全法制整備法案」を国会に提出し、審議が行われています。先日7月15日には衆議院平和安全法制特別委員会、16日には衆議院本会議で強行採決・可決されました。27日には参議院での委員会審議が始まっています。

 これら政府の謂う「安全保障関連法案」は、日本国憲法第 9 条 に違反するものであり、日本を「戦争をしない国」から「戦争ができる国」へと変えようとするものです。安倍政権がこれを、衆議院において十分に説明を果たさないまま審議を打ち切り、強行採決によって可決したことは、日本の立憲主義と民主主義を破壊する行為です。私たちは憲法に基づき、学問と良識の名において、国会がこれらの法案を廃案とすることを強く求めます。

 フェリス女学院は、キリスト教の信仰に基づく女子教育を行うことを建学の精神とし、「For Others」という教育理念を掲げています。建学以来の永い歴史のなかで自然に人々の心の中で形をなし、学院のモットーとして受け継がれるようになりました。このことば「他者のために」は、自分やちかしい人だけではなく、より広い視野から他者の存在をも考えに入れて、他者のために行動するという規範を意味するものであり、「集団的自衛権行使」などという名の武力行使・軍事介入=戦争を決して容認するものではありません。その本学も、戦時下の1941年、校名を「横浜山手女学院」と変更を余儀なくされた時期がありました。

 戦争はかけがえのないいのちを持った若者たちを戦場に送り込み、その場で殺し殺されることを強要することを意味します。そして、子どもたちを含む多くの犠牲者を生み出し、いのちの尊厳を踏みにじるものです。「主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。彼らは剣を打ち直して鋤とし/槍を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず/もはや戦うことを学ばない。(イザヤ書2章4節)」過去の悲惨な侵略戦争の反省の上に立って戦後日本が国是としてきた平和主義に逆行し、あらたに戦争への道を開く安全保障関連法案の衆議院強行可決に、私たちは強く抗議し、法案の即時廃案を要求します。

2015年7月
安全保障関連法案に反対するフェリス女学院大学教員有志の会


呼びかけ人(各学部五十音順)

文学部:井上 惠美子、梅﨑 透、小ヶ谷 千穂、齋藤 孝滋、島村 輝、髙田 明典、田中 里奈、
谷 知子、中川 正紀、福永 保代、藤本 朝巳、諸橋 泰樹、由井 哲哉、吉田 弥生、饒平名 尚子、
渡辺 信二、渡辺 浪二

音楽学部:川本 聡胤、瀬藤 康嗣、谷口 昭弘、土屋 広次郎、船場 ひさお、堀 由紀子

国際交流学部:荒井 真、泉谷 陽子、江上 幸子、大西 比呂志、木曽 順子、金 香男、佐藤 輝、
高雄 綾子、高柳 彰夫、田丸 理砂、常岡(乗本) せつ子、中塚 次郎、ヒガ,マルセーロ、
矢野 久美子、横山 正樹、和田 浩一

情報センター:内田 奈津子

留学生センター:椎名 渉子

|