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2015年08月18日

和歌山大学有志、安全保障関連法案の廃案を求める声明

安全保障関連法案の廃案を求める和歌山大学有志の会

安全保障関連法案の廃案を求める和歌山大学有志の会の声明

 私たちは、現在国会で審議されている安全保障関連法案(安保関連法案)の廃案を求めます。その理由は以下の通りです。
・安保関連法案は、全世界の国民の平和的生存権を確認した日本国憲法前文、および武力行使と戦力の保持を禁じた同第9条に違反しています。日本国憲法の平和主義により、戦後の日本および日本国民は国際的にも多くの国および人々の信頼を得てきました。安保関連法案の成立は、こうした国際的信頼を大きく損ないます。
・多くの専門家が憲法違反を指摘するなか、この法案を成立させることは、憲法が国家権力の暴走に歯止めをかける立憲主義の原則を破壊します。憲法違反の法案をひとたび許せば、民間人の動員や徴用、さらには徴兵制に至る、より危険な法律の制定に道を開きかねません。
・多くの国民が反対し、安倍首相自身が「国民の理解が進んでいない」と認めている安保関連法案の可決成立を強行することは、国民主権と民主主義に反します。
・安保関連法案は、歴代政権が、「専守防衛」を逸脱し憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使容認へと大転換させ、世界中の紛争・戦争への介入・参戦を可能にする「戦争法案」だと考えます。他国の民衆を殺傷するだけでなく、日本の若者も殺され、心身ともに深く重く傷つけられます。この法案は安全保障どころか日本を戦争に引きずり込む法案です。

 国立大学として1949年に発足した和歌山大学は、日本国憲法と教育基本法を遵守することを誓い、平和と民主主義・学問研究の自由を原則に、有為な人物を社会に送り出してきました。こうした大学の研究・教育の成果が人々の幸福や公共の福祉に結実するための絶対条件は、その社会が平和であり、一切の暴力を否定し、個人の尊厳が大切にされる社会であることです。もし、安保関連法案が成立し、日本が戦争のできる国に作り変えられるならば、それは次のような意味で学問研究および大学の危機をも招きます。
 第一に、真理の探究を使命とする自由な研究・教育が否定され、国策遂行・戦争遂行のための研究・教育が強制されかねません。第二に、卒業生を含む若者たちを戦場に送るという、耐えがたいことが起きる恐れが高まります。第三に、特に教育学部は、国策推進者として教え子を戦場に送りだす教師を育てる学部とされかねません。

 私たちは、こうした事態を避けるために発言し行動することを大学人としての使命と考えます。安保関連法案に反対するすべての人びとと連帯し、法案の廃案に向けて力を尽くします。
 この声明にご賛同いただけるすべての皆様に、連帯の署名をお願い致します。

2015年8月
安全保障関連法案の廃案を求める和歌山大学有志の会
よびかけ人一同

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呼びかけ人(8月17日夜 時点、五十音順)

阿部秀二郎(経済学部准教授:経済学史)
市川純夫(名誉教授:教育学)
内田みどり(教育学部教授:政治学)
江利川春雄(教育学部教授:英語教育学)
大泉英次(名誉教授:政策科学)
大浦由美(観光学部教授:地域資源管理学)
大西敏夫(経済学部教授:経営・経済農学)
尾久土正己(観光学部教授:天文学)
柏原卓(名誉教授:国語学)
川本治雄(名誉教授:社会科教育)
久保富三夫(名誉教授:教育行政学)
越野章史(教育学部准教授:教育思想史)
佐藤 周(経済学部教授:経営学)
高須英樹(名誉教授:植物生態学)
中島正博(経済学部准教授:財政学)
藤本清二郎(名誉教授:日本史学)
堀内秀雄(名誉教授:社会教育学)
溝口和子(教育学部教務職員:動物生理学)
村田和子(地域連携・生涯学習センター教授:社会教育学)
山﨑由可里(教育学部教授:障害児教育学)
山田純(事務職員)
山名?之(教育学部教授:器楽)
 以上22名。

和歌山大有志が安保反対声明 署名活動へ

わかやま新報(15年08月17日)

参議院で審議が続く安全保障関連法案について、和歌山大学教育学部の教授らを中心とする「安全保障関連法案の廃案を求める和歌山大学有志の会」(事務局長=越野章史教育学部准教授)が発足し、14日、声明を発表した。

呼び掛け人は越野准教授や江利川春雄教授、内田みどり教授ら9人。声明では「憲法違反の法案をひとたび許せば、民間人の動員や徴用、さらには徴兵制に至る、より危険な法律の制定に道を開きかねない」などと訴え、国策遂行のための研究や教育が強制されかねず、大学の危機を招くとの強い懸念を示している。

今後は教職員や学生、退職者や卒業生などに呼び掛け、500人を目標に賛同者の署名を集める。また、主に学内で学習会や講演会を開き、法案反対への取り組みを強めていくという。

14日に呼び掛け人の7人が県庁で記者会見を開いた。越野事務局長は「地方からも声を上げることで、東京の運動の後押しにもなるはず。廃案に向け学内から一般まで、広く賛同者を募りたい」、江利川教授は「関心はあっても、どう行動していいか分からない学生も多くいる。まずは学習会で正確な知識を積み上げながら共有化していくのが第一歩」と話した。


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