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2015年08月26日

北星学園教職員有志、安全保障法制に反対するアピール

安全保障法制に反対する北星学園教職員有志のアピール

安全保障法制に反対する北星学園教職員有志のアピール

 日本の安全保障の枠組みを根底から覆す安全保障法制法案が、衆議院を強行採決により通過し、今国会において成立しようとしています。わたしたち北星学園の教職員有志は、知的誠実を旨とする立場から、日本国憲法をないがしろにして提起されている安全保障法制が戦後70年の節目の年に成立しようとしている事態を看過することができません。

 日本国憲法のもとでの戦後日本の歩みにおいて、日本の国家権力は司法も含め集団的自衛権の行使が可能であるという立場を一貫してとってきませんでした。それが認められると解するならば、憲法9条は何も禁じていない空文になってしまうからです。しかし、現政権は戦後のどの政権もとってこなかった憲法解釈を閣議決定し、安全保障法制を提起しています。

 先の大戦からの反省と教訓を踏まえ、日本国憲法の平和主義は、戦後、堅持されてきました。日本国憲法の平和主義とそのもとでの戦後の歩みを見つめ直すことなしに、日本の安全保障の枠組みを覆す法案が提起されること、ましてやそれが国会の場で可決されるということなどは、立憲主義に立つかぎり、ありえないことです。

 北星学園は、戦後50年の節目に「北星学園平和宣言」を発表し、「あらためて平和をつくり出すことの大切さと人権を尊ぶ教育の重要さを思います」とした上で、「これまでの不十分な戦後の歩みを反省し、新しい時代の平和をつくる学園として歩むことを宣言」しました。また、自衛隊がイラクのサマワに派遣された2004年2月には「2004年2月声明」をやはり学園として発表し、「未来に生きる生徒・学生を戦場に送らないため、戦争行為を正当化するいかなる政策にも反対し、平和を実現する教育を貫き通すことを表明します」としています。こうした認識のもと、大学・短大、女子中高、大学附属高校、余市高校の北星学園各校は、これまでそれぞれに平和教育に力を注いでまいりました。

 <自由>は天から降ってくるものではないということ、でも、あたかも当然のものであるかのようにその<自由>を確保していく必要があることを、大学の自治と学問の自由への脅威に際して、わたしたちは、その困難とともに実感したところです。<平和>もまた、それを守るために絶えざる努力が必要です。わたしたちは、現政権の憲法解釈の変更から安全保障法制の提起、そして、衆議院通過に至る、一連の経緯を省みて、その思いを新たにせざるをえません。

 北星学園に奉職する教職員有志は、知的誠実のもと、また、学園の掲げるキリスト教の精神に鑑み、安全保障法制は廃案にされるべきであると強く訴えます。


「平和を実現する人々は、幸いである」(マタイによる福音書 5章9節)

「剣をさやに納めなさい。剣を取る者は皆、剣で滅びる。」(マタイによる福音書 26章52節)

2015年8月

立憲主義と日本国憲法を尊重する北星学園教職員有志の会

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呼びかけ人

大学・短大: 勝村務 萱野智篤 木下武徳 佐橋克彦 篠田優 濵文章 原島正衛 韓文熙

       山我哲雄 山口博教 (五十音順)

余市高  : 平野純生

<代表>  山我哲雄

<世話人> 勝村務 木下武徳 山口博教 (五十音順)


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