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2015年09月22日

立憲デモクラシーの会、安保法案強行採決に対する抗議声明

立憲デモクラシーの会
 ∟●安保法案強行採決に対する抗議声明

安保法案強行採決に対する抗議声明

2015年9月19日

立憲デモクラシーの会

 安倍内閣および自民・公明両党が、違憲であることが明白な安全保障関連法案を強行採決により成立させたことに、強く抗議する。

 集団的自衛権を行使できるようにすることを眼目とするこの安保法案が憲法9条に違反していることは、最高裁判所長官、最高裁判所判事、内閣法制局長官の経験者、日本弁護士連合会さらに大半の憲法学者をはじめとして、多くの法律の専門家が繰り返し指摘してきた。これらの批判、疑問は、日本が法治国家であるためにこれだけは譲れないという、法律家としての職業倫理に基づく警告であった。

 一般国民の多くも、安保法案の内容を理解するにつれて疑問を持ち、法案の成立に反対するための運動に参加した。各種世論調査でも、この通常国会における安保法案の成立に対しては反対意見が圧倒的多数に上った。

 国会内では、野党が法案の矛盾や曖昧さを徹底的に追及し、審議は頻繁に中断した。そして、政府側の答弁は参議院平和安全法制特別委員会の最終段階においても二転、三転し、安倍晋三首相と中谷元防衛大臣こそ、この法案の内容を的確に理解していないことが露呈した。説明責任が果たされないことによる国会審議の空洞化は、日本の議会政治の歴史に残る大きな汚点である。

 立法事実や論理的整合性に多くの疑問が残るなか、強引に法案を成立させた政府・与党の行為は、多年に亘る政府見解や法実践によって確立した憲法秩序を破壊し、法的安定性を覆すクーデターとも言いうる。政治権力は憲法の制約のもとに運用されなければならないという立憲主義を否定するなら、日本はもはや法治国家ではなくなり、人がほしいままに権力を動かす人治国家に転落する。

 他方、立憲主義の危機に際して、今まで政治的な表現を積極的にはしてこなかった人々が政治に対して声を上げた。この経験は、日本に新たな民主主義の文化が生まれていることを告げている。我々は、こうした人々の「主権者でありたい」という意志と関心に応えて、憲法と民主政治について問い、語りかけることを続けたい。そして、引き続き安保法制の違憲性を指摘し、この法律の運用を監視していく。また、この違憲の法律を廃止し、日本に立憲デモクラシーを回復するためにあらゆる努力を行う決意である。


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