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2015年10月29日

医学部定員増の答申、2校の負債率を問題視- 学科設置で海外研修に注文も

CBnews(2015/10/28)

 大学設置・学校法人審議会は27日、私立大7校の医学部定員の増員などを認めるよう馳浩文部科学相に答申した。ただ、このうち2校については、負債率が高いことを問題視。理事が欠員となっている1校に対しても「速やかに補充すること」と注文を付けた。学科設置でも理学療法の海外研修の実行可能性に懸念を示した。【新井哉】

■負債総額900億円超の日本医科大、「適切に負債償還を」

 「申請前年度の負債率が高いことから、負債の減少に努めること」。今回の答申では、日本医科大(東京都文教区)と愛知医科大(愛知県長久手市)の負債率を、「留意事項」として取り上げた。

 日本医科大は2014年度の財産目録に、約1285億円の資産総額に対し、負債総額が約917億円となっていることを記載。答申では、19年度以降の負債償還率が高いことも挙げ、留意事項に「適切に負債の償還を行うこと」と書き込んだ。

 一方、愛知医科大には、負債の減少に努めることに加え、欠員となっている理事の早期補充を要望。このほか、藤田保健衛生大(愛知県豊明市)に対しても、医療科学部のリハビリテーション学科と臨床工学科、医療経営情報学科の定員超過を是正するよう求めた。

■教員4人で学生80人対応の海外研修、実行可能性に懸念

 答申では、学部の学科を設置する城西国際大(千葉県東金市)と帝京科学大(東京都足立区)に対しても、それぞれ複数の留意事項を挙げ、改善に取り組むことを促した。

 城西国際大福祉総合学部に開設する理学療法学科については、海外研修などに関する5項目の留意事項を提示。必修科目として1年後期に開設する「理学療法海外研修」を取り上げ、学生が十分に「理学療法学」を学んだ後に履修することを要望した。

 また、授業担当教員2人と補助の引率教員2人で80人の学生に対応する計画についても「確実に実施できるかどうか、その実行可能性に懸念がある」と指摘。「何らかの理由で海外研修に参加できない学生がいた場合の措置が不明」とした上で、教員の配置と履修できない学生への措置を十分に検討することも求めた。

■「各教員の担当科目が多い」、教員の研究時間確保を

 帝京科学大医療科学部の医療福祉学科については、留意事項で「全体的に各教員の担当科目が多く、精神保健福祉士関係の科目も特定の教員に過度に偏っている」と指摘。「実習指導教員の非常勤採用を計画的に行っていく」との大学側の説明に対しても、実習指導以外の教員の計画的配置を行い、教員の研究時間の確保を図るよう要望した。

 答申内容は次の通り。【私立大医学部の収容定員増加】帝京大2人▽日本医科大2人▽愛知医科大2人▽藤田保健衛生大5人▽埼玉医科大(埼玉県毛呂山町)1人▽順天堂大(東京都文京区)3人▽東海大(神奈川県平塚市・伊勢原市)3人【私立大の学科新設】城西国際大(福祉総合学部理学療法学科=80人▽帝京科学大(医療科学部医療福祉学科=80人、3年次編入10人)


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