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2015年10月10日

福井大大学院教授を懲戒解雇 パソコン部品の売却金を不正取得

福井新聞(2015年10月9日午後5時20分)

 福井大は8日、研究費(公費)で購入したパソコンの部品を売り、約25万円を不正に得ていた大学院工学研究科の男性教授(54)を懲戒解雇処分にした。業務上横領の疑いで福井県警への告訴を検討している。

 福井市の同大文京キャンパスで記者会見した岩井善郎副学長は「大学の職員たるにふさわしくない非行があった。大学として深くおわび申し上げる」と陳謝。今年、教職員の不祥事が相次いでいる点には「関係者、各界の皆さまにご心配、ご迷惑をかけており、さらに綱紀粛正に努めたい。個人の問題に矮小(わいしょう)化するつもりは全くない」と述べた。

 大学によると、男性教授は今年1月、研究費で購入していたCPU(中央演算処理装置)2点とグラフィックカード(ビデオカード)4点の計6点を都内の中古品買い取り業者に売却。教授の銀行口座に代金25万4537円が入金された。教授は事実を認め、9月初めに全額弁済した。

 4月下旬に匿名の内部通報があり、大学が調査。男性教授は当初、売った理由について虚偽の説明をした後、11月の海外での国際会議に研究員らが参加する渡航費を捻出するためだったとした。ただ、会議名称などの不明な点が多く、私的流用があったかどうかも大学側は「確認できていない」としている。

 7日の教育研究評議会で本人の弁明を聞き、研究費の不正使用に当たるとして処分を決めた。大学の規定に基づき氏名は公表していない。

 再発防止策として、取得価格が10万円未満の物品は消耗品扱いとしてきたが、CPUなど換金性の高いものは備品と同様に帳簿管理し、必要に応じて物品調査を行うとした。

 男性教授は福井新聞の取材に対し「大変申し訳なく思っている。ただ、常習性はなく、ほかの研究費不正の事例と比較しても処分が重すぎる。処分の軽減を求めて労働審判の手続きを取ることも考えたい」とコメントした。


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