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2015年10月31日

新規採用の非常勤講師の更新回数制限をめぐる関西圏の大学の動向

関西圏大学非常勤講師組合
 ∟●非常勤の声

 2012 年に成立した労働契約法改正によって、労働契約法 18 条で有期雇用労働者が 5 年を超えて繰り返し更新された場合、労働者の申し込みにより無期雇用への転換権が発生することになりました。これは 2013 年 4 月から施行されましたので 18 年 4月から無期転換権が発生することになります。

 これら 18 条の無期転換権の発生を阻止するために、大学としてもっとも早く動いたのは早稲田大学や大阪大学、神戸大学などです。これらの大学は 2013 年 4 月の施行前に 5 年で雇い止めの就業規則を作成しました。しかし、早稲田大学では首都圏大学非常勤講師組合との団体交渉で現在勤務している非常勤講師の 5 年雇い止めを撤回せざるをえなくなりました。また、大阪大学は関西圏組合と交渉後に、「研究開発能力強化法」の労働契約法の「特例」を使って、5 年を 10 年に延ばしました。

 関西圏の他の多くの私立大学は昨年までは「検討中」として態度を明確にしませんでした。しかし、今年に入って立命館大学が、現在勤務している非常勤講師は 5 年で無期転換権が認められるが、新規の非常勤講師(「授業担当講師」)は 5 年上限を決定しました。また、同志社大学も現在勤務している非常勤講師を除いて 10 年上限を導入しようとしています。

 立命館大学や同志社大学の動きは今後、他の私立大学にも大きな影響を与えることになりそうです。労働契約法18条は雇用の安定のためのものであり、新規採用の非常勤講師にたいして最初から上限をつけることは明らかに労働契約法18条違反です。(文責・江尻)


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