研究者の地位と権利を守るための全国的ネットワークをつくろう!

2015年11月03日

大阪の公立大学のこれからを考える会、「現行の大学統合計画の白紙撤回を求める要望署名」

大阪 開業支援室
現行の大学統合計画の白紙撤回を求める要望署名

大阪市立大学学長 西澤 良記 様

現行の大学統合計画の白紙撤回を求める要望署名

【要望趣旨】
 市大と府大の統合計画は、もともと大阪府・市が「二重行政」の解消として持ち出してきたものです。大阪府・市が市大・府大関係者を抜きに発足させた新大学構想会議が、2013(平成25)年1月に「新大学構想<提言>」を、続いて同年4月に大阪府・市が「新大学ビジョン(案)」を発表しました。大阪府・市から公表されたこれらの案やビジョンを両大学は唯々諾々と受け入れ、ついには今年2015(平成27)年2月、市大・府大の連名で「『新・公立大学』大阪モデル(基本構想)」を発表するに至りました。果たしてこれが在学生、卒業生、教職員が誇りを持てる大学の姿でしょうか?

 一方で、2013(平成25)年10月、市大・府大の名誉教授ら21氏が「橋下市長の大学自治への介入と府大・市大の拙速な統合を憂慮する」声明を発表し、「学問の自由と大学の自治の伝統が根底から脅かされている」と懸念を表明されました。同年11月の市議会では、統合メリットやキャンパス配置、財源などの基本問題が具体化されないまま”統合ありき”で進められる強引なプロセスに批判が集中し、市長が提案した「統合関連議案」は否決されました。2014(平成26)年春から夏、市大・府大の卒業生らが「拙速な統合はやめてください」署名に取り組み、同年9月、知事・市長宛てにそれぞれ約11,000筆の署名を提出しました。2015(平成27)年5月、大学統合計画を含む「大阪市廃止・5分割」(いわゆる「都構想」)の賛否を問う住民投票は反対多数で否決され、橋下市長も「私が間違っていた」と認めました。このように、大学内外からも多くの批判があり、市議会でも住民投票でも否決された大学統合計画を、大阪府・市および市大・府大はいまなお進めようとしています。

 私たちには、大学関係者の民主的な議論や客観的な検証を十分に経ないまま強引に設立されようとしている新大学が、大阪市民・府民、広くは社会全体の要求に応えて行く大学になれるとは思えません。また、異なる二つの大学を統合して新大学に生まれ変わらせることは、どちらの大学の個性も喪失させることになり、両大学の在学生、卒業生、教職員が選んだ大学ではなくなってしまいます。受験生にとっても、比較的安い授業料で学べる二つの公立総合大学が減らされれば、選択肢が奪われます。家族にとっても子や孫の学ぶ場が奪われることになります。

 両大学は「市井の精神に発した、自主独立・自由進取の気風あふれる建学の伝統」(市大・大学憲章)、「地域に信頼される知の拠点」(府大・基本理念)の精神をいまこそ思い起こしてください。私たちは、両大学が市民・府民の願いを尊重して大学統合計画を撤回し、これまで通り互いに独立した公立大学として、それぞれの伝統と特色を生かして発展することを望みます。そして、先人の努力と奮闘の上に築かれ、現在まで続く輝かしい歴史と伝統、学風、学問研究水準のいっそうの発展を心から願うものです。


|