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2015年12月02日

お茶の水女子大学、財政制度等審議会財政制度分科会における財務省提案に関する声明

お茶の水女子大学
 ∟●財政制度等審議会財政制度分科会における財務省提案に関する声明

平成 27 年 11 月 20 日

財政制度等審議会財政制度分科会における財務省提案に関する声明

国立大学法人お茶の水女子大学 経営協議会学外委員(50 音順)
相澤 益男(独立行政法人科学技術振興機構顧問、国立大学法人東京工業大学名誉教授・元学長)
上田 良一(日本放送協会経営委員会委員、前三菱商事株式会社代表取締役副社長執行役員)
大橋 節子(学校法人創志学園学園長、社会福祉法人元気の泉理事長)
小野 元之(学校法人城西大学理事・大学院センター所長)
北原 和夫(東京理科大学大学院科学教育研究科教授、国立大学法人東京工業大学名誉教授、国際基督教大学名誉教授)
坂本喜久子(株式会社冨山房インターナショナル代表取締役、公益財団法人坂本報效会評議員)
野間口 有(三菱電機株式会社相談役、国立研究開発法人産業技術総合研究所最高顧問)
村松 泰子(公益財団法人日本女性学習財団理事長、国立大学法人東京学芸大学名誉教授・前学長)
毛利 衛(日本科学未来館館長)

 国立大学法人お茶の水女子大学は、本年で 140 周年を迎える歴史と実績ある女子大学である。日本における近代女性教育の始祖であり、社会に貢献する優れた女性人材を輩出してきた。

 現在、同大学は、文教育学部、理学部、生活科学部の 3 学部と人間文化創成科学研究科から構成され、学生数約 3,000 名、事業規模約 80 億円と、大学としては比較的小規模ながらも、グローバルに活躍する女性リーダーを育成し、豊かで自由、公正な社会を実現することを目標に、高い志、強い意志と行動力を発揮して、特に女性教育、幼児教育の分野において日本のみならず、世界をもリードしてきた。

 さらに、同大学では、息長く社会貢献活動に取り組んでいる。例えば、10 年先を見据えつつ、大学を挙げて東日本大震災の被災地支援の実践活動を継続している。また、アフガニスタンの女性教育支援を 10 年来継続しているなど、外からの視点で見ても、社会への献身的関与には特筆すべきものが多い。

 私たち経営協議会学外委員は、平成 16 年の国立大学法人化以来、国民を代表して、同大学の経営面における監視役としての役割を果たしてきた。本年 4 月より学外委員を過半数とするよう国立大学法人法が改正されたが、これは、国からの財源措置が徐々に削減されるなかで、我々学外委員に対し、より積極的に経営に関与することを期待されたものと理解している。

 さて、同大学では、国立大学法人化以降、国からの安定的な財源措置が毎年度 1%ずつ削減されてきたため、自助努力として、競争的補助金、科学研究費補助金や寄附金を獲得しつつ、組織体制の抜本的見直しや、正規教員の削減などにより対処してきた。

 その過程で、教職員の非正規化が進み、研究と教育文化の承継が困難となり、正規教員への管理業務集中化に伴う教育研究活動へのしわ寄せ、正規職員への負荷集中などの課題が顕在化しつつある。昨今では、財源確保が伸び悩む一方で、経費削減については、組織体制を抜本的に見直しても対応が困難となり、大学の基盤である基礎的研究費を削減せざるを得ない状況にある。努力の余地も限界が見えつつあるといえる。

 そうした中で、財政制度等審議会財政制度分科会において、国からの安定的な財源措置である運営費交付金を今後も 1%ずつ削減し、削減分は自助努力で賄うとする案が公表された。

 たしかに、国の負債は未曽有の水準にあり、財政状況も極めて厳しいことを勘案すると、国立大学も自ら財源確保に努力すべきことは自明である。

 しかしながら、家計の実質所得が伸び悩む中での学生納付金の値上げは、奨学金制度の充実等がなければ、高等教育の機会均等が担保されず、日本の将来を担う若者の可能性の芽を摘むことになりかねない。また、競争的資金や寄附金の追加獲得など自助努力の余地はあるものの、景気に左右され、大学の財務基盤が益々不安定化することから、大学として必要となる教育・研究機能を維持できなくなる懸念がある。

 これまで、私たち日本国民は、同大学をはじめとする国立大学の所産の恩恵を大いに享受してきた。これからも、これら大学の活躍なくして豊かで自由、公正な未来は展望できないのではないか。

 同大学をはじめとする国立大学が、機能強化を加速させて、それぞれ掲げる目標を達成し、引き続き日本と世界に貢献していくためには、国立大学法人運営費交付金の安定的措置が必須の前提である。

 引き続き、各方面のご理解とご支援を強くお願いする。

国立大学法人が持てる力を存分に発揮し、日本と世界に益々貢献していくため、基盤的経費である国立大学法人運営費交付金の一層の充実を!

以上

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