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2015年12月04日

福岡教育大学未払賃金請求事件弁護団・ 原告団、声明「控訴審判決について」

全大教
 ∟●福岡教育大学未払賃金請求事件控訴審判決について

福岡教育大学未払賃金請求事件控訴審判決について

2015年11月30日

福岡教育大学未払賃金請求事件弁護団・ 原告団

 本日,福岡高等裁判所第3民事部は,福岡教育大学教職員組合の新旧役員4名(いずれも同大学の教授)が組合の支持決議を受け ,国立大学法人福岡教育大学に対して提訴 した未払賃金請求事件において ,原告らの請求を棄却した一審判決を維持して、控訴を棄却した。

 本件は,平成24年2月29日成立の「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律J (国家公務員給与臨時特例法)により,国家公務員の給与が平成24年4月から平成26年3月までの2年間にわたり減額(平均7.8% ,最高 9.77%) されたことを踏まえ,国が全国の国立大学法人に対して行った同様の措置を講じるようにとの要請を無批判に受け入れ ,国立大学法人福岡教育大学が就業規則を職員の合意を得ることなく一方的に不利益変更し平成24年7月から平成26年3月まで途中2ヶ月分を除き 19ヶ月 にわたって同率の給与減額を行ったことに対し,減額分の賃金を未払賃金として請求したものである。

 大学当局が行ったように,大学の自主性・自律性をかなぐり捨てて国の要請に唯々諾々と従い,大学の個別事情や大学職員の労働法制上の権利を無視した身勝手な労働条件の不利益変更がまかりとおるなら,国家権力の介入を排除して学問の自由・大学の自治を守るとしづ 憲法上の基本原理は有名無実となり,大学職員は安定した公務員の地位を奪われたうえ,民間労働者を下回る権利しか付与されていないという劣悪で不安定な地位に置かれることになる。
 とりわけ福岡教育大学においては,大学当局が国の方針に無批判に従う一方で,学長が組合攻撃をし,さらに本件原告ら批判的職員を不当に扱う事件が発生している。

 このような状況下では,「学術の中心として,高い教養と専門的能力を培うとともに,深く真理を探究して新たな知見を創造し,これらの成果を広く社会に提供することにより,社会の発展に寄与する」(教育基本法7条1項)という大学に課せられた崇高な目的は達成しょうがない。

 このような本件訴訟の意義に照らすとき,大学当局の言い分を認めた本日の判決は極めて不当であると言わざるをえない。

 われわれは本日の不当判決に対して直ちに上告するとともに,学問の自由,大学の自治を守る国立大学法人としての自主性・自律性,および,学内民主主義の確立に向けて断固として戦いを継続する所存である 。


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