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2016年01月13日

岡山大学解雇事件、解雇撤回を求める陳述書

今、岡山大学で何が起きているのか?
 ∟●津島他学部の状況(2016年01月11日)

陳述書

平成27年12月8日
国立大学法人岡山大学教育研究評議会 御中
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科教授
森山芳則

国立大学法人岡山大学教育研究評議会(以下「評議会」という。)の平成27年10月26日付け審査説明書記載の判断に対し、事実関係の記載を中心に、次のとおり陳述する。

第1 結論

評議会は、森山に対する解雇との判断を再考の上撤回すべきである。

第2 主張の概要

1.解雇理由は事実誤認であり、解雇理由とはなりえないこと

審査説明書記載の事実関係(1)乃至(9)は、事実誤認であり、解雇理由とはなりえない。特に、評議会は、解雇理由(1)、(4)、(5)及び(7)については告訴状を岡山地方検察庁に提出していないのであるから、明らかに事実誤認であり、国立大学法人の評議会の判断としては、到底許されるものではない。詳細は、第3において述べる。

2.審査結果は、解雇権の濫用であり無効であること

(1)結論

森山に対する解雇は、1記載のとおり解雇理由に誤りがあることに加え、以下の事情により、客観的な合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないことから、解雇権の濫用に該当し、無効であることは明らかである。

(2)違法な自宅待機命令を前提とする普通解雇であること

国立大学法人岡山大学(以下「大学」という)は、平成27年5月20日付け自宅待機通知書において「国立大学法人岡山大学職員就業規則(平成16年岡大規則第10号)第68条の2の規定に基づき、平成27年5月26日から当該懲戒処分が決定するまでの間、自宅待機を命ずる。」と記載し、森山に対して、「当該懲戒処分が決定するまでの間」の期間に限定して、懲戒処分を前提とした自宅待機命令を行った。同就業規則68条2においては、「学長は、職員が懲戒処分に該当する行為を行った場合は、当該懲戒処分が決定するまでの間、当該職員に自宅待機を命じることができる」と規定しており、自宅待機命令は、あくまで懲戒処分に該当する行為を行った場合に限定して認められる措置であることから、懲戒処分を前提とせずに自宅待機命令を出すことは、同就業規則に反して違法である。

しかしながら、大学は、本通知書発行日から6か月以上経過しているにも関わらず、未だ懲戒処分を行っていないこと、及び、懲戒解雇ではなく普通解雇を行おうとしていることから明らかなように、「懲戒処分に該当する行為」は存在せず、就業規則に違反する行為を行っていることを自ら認めている。また、このような状況で、正式な懲戒処分を行わず、実質的な懲戒処分である普通解雇を大学が選択することは、自ら犯した違法行為を隠蔽する行為に他ならず、社会通念上著しく相当性を欠く行為である。

したがって、かかる状況の下、普通解雇を行うことは、解雇権の濫用に該当し無効である。

(3)先行の懲戒処分時に明確に認識していた事情を解雇理由としていること

懲戒処分が連続する場合、先行する懲戒処分の処分時に明確に認識していた解雇理由を、後続の懲戒処分における解雇理由とすることは、懲戒権の濫用として、解雇は無効とすべきである。この趣旨は、後続の処分が(本件のように)懲戒処分を前提とした自宅待機命令が先行し、懲戒処分が出ていない場合に、普通解雇を行う場合にも同様に当てはまる。したがって、懲戒処分を前提とした自宅待機命令が先行し懲戒処分が出ていない場合に普通解雇を行う場合、先行する懲戒処分の処分時に明確に認識していた処分事由を、後続の普通解雇理由とすることはできず、これに反する解雇は解雇権の濫用として違法である。

しかるに、解雇理由(1)乃至(7)は、平成26年9月25日付け停職処分時に、大学が明確に認識していた事情である。したがって、評議会がかかる理由をもって、解雇理由とすることは、いずれも解雇権の濫用として許されない。

(4)報復としてなされた解雇であること

普通解雇においても、報復として解雇することは、解雇権の濫用として無効である。大学は、以下の通り、森山の大学に対する要求に対する報復として、普通解雇を行うとしていることは明らかである。

すなわち、森山は、博士課程在籍中の大学院生の博士論文の不正行為、他人の修士論文を剽窃し己の博士論文とし博士号を取得した二名の○○企業社員がなした不正行為、それらの不正行為を指導した元教授の不正行為、並びに、理事が多数著者に含まれる論文の不正行為を大学に内部告発したところ、平成26年9月25日付けに別件で停職処分を受けている。こうした中、平成26年9月26日臨時薬学部教員会議において、学長は、「私を刑事告訴するということはどれだけ大きな社会的な非違行為かであるかということです。・・中略・・私が辞めるかそちらが辞めるかの戦いになります」また、「私自身の処罰もありえると私は思っています。これから処罰がありえると思っております」と発言している。以降、大学は、一環として、根拠ない自宅待機処分に続く、本件の普通解雇とする結論を出しており、本件の普通解雇が、大学の報復に基づくことは明らかである。

……以下,省略

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