研究者の地位と権利を守るための全国的ネットワークをつくろう!

2016年01月12日

岡山大が薬学部教授2人を解雇、「教員としての適性欠く」

山陽新聞(2016年01月12日 23時23分 更新)

 岡山大は12日、大学教員としての適性を欠くとして、薬学部の前学部長で大学院医歯薬学総合研究科の森山芳則教授(62)と、前副学部長の榎本秀一教授(52)を解雇処分にしたと発表した。処分は昨年12月28日付。

 大学によると、元教授2人は、学内の論文不正を告発した自身らの役職解任を学長らが画策したことが職権乱用に当たるとして、2014年に岡山地検へ告訴状を提出し、記者会見。さらに調査中にもかかわらず論文不正があったかのように外部に情報提供した。2人に共通するこれらの行為を含めて9項目ずつを挙げ、大学の社会的評価を傷つけたとしている。

 学内で会見した阿部宏史理事は「真実と認められない情報を流しており、信頼関係の回復は困難」と説明。森田潔学長は「服務規律の徹底を図り、大学への信頼を回復すべく努力したい」とのコメントを出した。

 岡山大は14年9月、薬学部の准教授らにハラスメント(嫌がらせ)行為をしたとして元教授2人を停職9カ月の懲戒処分にし、学部長、副学部長から解任。2人は昨年1月、処分の無効などを求める訴訟を岡山地裁に起こしている。

■元教授2人、処分無効と慰謝料求め提訴

 岡山大による解雇処分をめぐり、森山芳則元教授と榎本秀一元教授は12日、合理的な理由がないなどとして、処分の無効と1千万円ずつの慰謝料を求めて岡山地裁に提訴するとともに、処分無効の仮処分を申し立てた。

 訴状では、大学側が解雇理由として挙げた項目のうち、学長らに対する刑事告訴について「地検に告訴状は提出しておらず事実誤認」と説明。記者会見などの行為についても「解雇の理由には当たらず、解雇権の乱用だ」と主張している。

 この日、岡山市内で会見した森山元教授は、自身らが学内の論文不正を告発してきた経緯を踏まえ「告発が解雇につながったと考えている。学生や大学の未来のため、司法の場で異常性を明らかにしたい」と話した。

 岡山大は昨年3月、教員が執筆した研究論文計31本に流用、捏造(ねつぞう)といった不正があるとした森山元教授らの告発に対し、調査の結果、いずれも不正はなかったとホームページ上で公表している。


|