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2016年02月13日

実践的な職業教育行う新たな高等教育機関創設を

NHK(2月12日)

文部科学省の審議会は、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関を3年後をめどに創設し、大学を卒業したのと同じように学位を取得できるようにするという基本方針を示しました。
これは政府の教育再生実行会議の提言を受けて文部科学省の中教審=中央教育審議会が検討を進めているもので、12日開かれた特別部会で基本方針が示されました。
それによりますと、技術革新やグローバル化に伴い働くのに必要な知識や技術が複雑化、高度化しているとして、実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関を3年後の平成31年春をめどに創設するとしています。
新しい学校は、2年制から4年制で、高校の卒業生や学び直しを目指す社会人を対象とし、職場実習を行ったり企業の社員を講師にしたりして、学問と技術の両方を学ぶほか、卒業すれば大学と同じように学位を取得できるようにするということです。
特別部会の委員で、大学教育に詳しい筑波大学の金子元久特命教授は、「職業が多様化するなか高等教育の在り方も変化が求められているが、新しい教育機関の役割や従来の大学との違いについてさらに議論が必要だ」と話しています。
中教審はことし夏ごろに最終的な方針をまとめ答申することにしています。

ニーズへの疑問も

実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の創設は、政府の教育再生実行会議で提言され、ことし閣議決定された成長戦略の実行計画にも盛り込まれました。職業教育はこれまで専門学校を中心に行われてきましたが、専門学校は国の認可が必要ではないなど大学や短大に比べて設置基準が緩いため、教育の質にばらつきがあると指摘されてきました。また、大学でも卒業後の進路を見据えた授業は増えてきていますが、まだ十分ではないとして、文部科学省は新たな高等教育機関で企業などと連携した授業を行い、高度な実務能力を持つ人材を育成したいとしています。
ただ、少子化が進むなかで新たな教育機関へのニーズがどれほどあるのか、専門家の間からは疑問視する声も上がっています。文部科学省によりますと、18歳人口は今年度の時点でおよそ120万人とこの20年で57万人少なくなり、私立大学のおよそ4割は定員割れとなっています。さらに、今ある大学や専門学校と差別化できるのかや、教員や教育の質をどのように確保するのかといった課題も指摘されています。文部科学省は「専門学校や短大などが新しい教育機関に移行することを想定しており、社会人も入学できるようにする。少子化のなかで学校の数が増え続け、運営に行き詰まるケースが相次ぐとは考えていない」としています。


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