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2016年03月18日

学長選考「無効」訴え,下関市立大 選考委員の半数

■朝日新聞(2016年03月15日 西部 朝刊 山口・1地方)

 下関市立大学の次期学長を選んだ昨年12月の選考会議をめぐり、「教員らによる意向投票の結果を覆すなど、選考手続きに大きな問題がある」として、選考委員の半数が決議の無効と審議再開を求めている。教授会構成員の過半数も事実関係の調査などを要求している。一方、同大側は「大学の規程に従って選考した」と反論している。

大学側「規程に従って選考」

 同大によると、昨年12月開催の「学長選考会議」(議長=佐々木孝則同大事務局長)では2人の候補者の中から、次期学長に九州大学付属図書館付設記録資料館長の川波洋一氏を選出した。任期は4月からの3年間。
 朝日新聞が入手した同大教員でつくる[大学の現状を憂える教員一同」が大学側に提出した文書「次期学長候補者選考に関する調査請求」などによると、学長選考会議に先立って行われた教員らの「意向投票」では、川波氏の29票に対し、落選した対立候補は9票上回る38票を獲得していた。
 だが、「選考会議」では議長の佐々木事務局長を含む委員6人が投票を行い、3対3の同数となったため、議長裁定で川波氏を選出したという。
 対立候補に投票した3人の委員は「9票もの大差を覆す明確な理由が無い」「議長が投票権と決定権を二重行使できるかについては結論が得られていない」などと反発。同大理事長にあてた「学長選考結果報告書」の書面への署名捺印を拒否し、公式文書とは認められないと主張している。
 また、同大教授会構成員の過半数にあたる33人の教員も連名で、選考手続きの事実関係の調査と説明を求めている。
 教員の一人は朝日新聞の取材に対し、「学長選考会議は問題の多い選考過程を隠蔽しようとしており,説明責任を果たそうとしていない。公立大学法人に求められるコンプライアンスに明確に抵触する」と話した。
 一方、同大の佐々木事務局長は「学長選考に関する大学の規程では教員の意向投票結果は『参考にして審議』するもので選考結果を縛るものではない」と指摘。「『議事は出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる』とも定めており、議長の投票権を排除していない」としている。(白石昌幸)

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