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2016年04月11日

高大接続システム改革会議 最終報告案を審議

全私学新聞(2016年3月23日)

高大接続システム改革会議 最終報告案を審議
次回で今後の検討体制含め最終報告取りまとめへ
「高校基礎テ」の問題例も提示

文部科学省の高大接続システム改革会議(座長=安西祐一郎・独立行政法人日本学術振興会理事長)は3月11日、同省内で第13回会議を開いた。会議では文科省から「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の問題作成イメージ例と同会議の「最終報告案」が示され、議論が行われた。このうち「最終報告案」については、先の見えない時代だからこそこうした改革が必要なことなど報告案の序論というべき「検討の背景とねらい」をもっと丁寧に書くべきだなど、多くの委員からさまざまな意見が出された。今後、同省による修文作業を経て次回会議(日程未定)で最終部の「改革の実現に向けた今後の検討体制等」について新たに審議した後、最終報告として取りまとめる予定。

最終報告案は、昨年9月の「中間まとめ」に、同会議の二つのワーキンググループのまとめ、中教審の他の部会の審議状況等を加味して作成された。構成は、「Ⅰ検討の背景とねらい」、「Ⅱ高大接続システム改革の基本的な内容・実施方法」、「Ⅲ高大接続システム改革の実現のための具体的方策」、「Ⅳ改革の実現に向けた今後の検討体制等」の4章立て。Ⅲの具体的方策の中で、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を含む高校教育改革、大学教育改革、個別大学における入学者選抜改革や「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の導入を含む大学入学者選抜改革を取り上げている。  内容的にはこれまでの検討段階と大きな変更点はないが、委員からは、「従来の履修主義から修得主義的なものに移行するということを書いてほしい」「全国から収集、精査・蓄積したテストを全国の高校が定期テスト等に使えるようにしてほしい」「夢のよう(な計画)だが、どう実現するか見えてこない」などさまざまな意見が出された。  一方、問題作成イメージ例については、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」の当初の対象教科となる「国語」、「数学」、「英語」の問題例が提示された。このうち「国語」、「数学」では学校祭のPTAバザー企画や総合感冒薬の説明書を題材にした「生活との関わりをより意識させる問題例」、「文章を読んで設問に解答するオーソドックスな形式の問題例」、「義務教育段階の学び直しの観点から、高校段階でも確認しておくことが必要な事項の問題例」「義務教育段階の正答率から、高校段階でも引き続き指導が必要な事項の問題例」の4パターンが示された。「英語」に関しては、聞く、読む、書く、話す、の4技能の問題例が提示された。こうした問題例について委員からは、「細やかなテストの作りがいい。PISA型の問題も参考にしてほしい」「生徒がどこでつまずいたか分かりやすい」「高校1年生で(あるレベルのテストを)クリアすると、次はレベルアップしたものを受けるのか」「習熟度検定のようになって、教科別習熟度別クラスが広がっていくのではないか」など、評価するとの意見が数多く聞かれた。同テストについては、アイテムバンクに蓄積された大量の問題群から複数レベルの問題のセットを構築、学校がその中から適切なものを選び受検できる仕組みとなる(個人も受検可)。1科目のテスト時間はおおむね50~60分程度が基本だが、課題を抱える生徒向けに短いテスト時間の問題も考慮される。


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