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2016年04月25日

山形大、法令手続き経ず教員2人に解雇通告

読売新聞(2016年04月22日)

 山形大大学院の教員2人が、法令で定められた正当な手続きを経ずに3月31日付で解雇を通告されていたことが、関係者への取材で分かった。

 2人は研究に必要な有害化学物質と微生物の管理を担当していたことから、大学側は解雇通告後、処理のため5月まで雇用を延長する方針を伝えたが、2人はこの対応を不服として回答を保留している。

 関係者によると、解雇を通告されたのは、同大学院理工学研究科の男性教授と助教の2人。

 教授側によると、大学側から2016年度以降の雇用継続について口頭で確認を受けていたが、3月9日に解雇を予告する趣旨の電話連絡を受け、3月31日に口頭で同日付での解雇を言い渡された。解雇理由について大学側は、教授が都内の企業と提携して行っていた寄付講座が、原資となる企業の寄付金が受けられなくなり、中止されたためと説明した。後日、大学側から解雇した旨を告げる文書が交付された。教授らは14年度に採用され、寄付講座のみを担当。講座は18年度までの5年間の予定だった。

 労働基準法は、解雇予告は解雇の30日以上前に行うか、30日前に予告できない場合は30日分以上の平均賃金を支払うよう定めている。

 教授側は今月に入ってから再雇用を申請。15日に大学側と協議した際、大学側は、有害化学物質「ポリ塩化ビフェニール(PCB)」と、防疫上厳重な管理が必要な微生物の処理をしてほしいとして、5月までの雇用延長を提示した。だが、教授側はこの内容を不服として回答を保留している。

 教授は「少なくとも1年は雇用を継続してほしい。労働基準監督署にも相談しており、今後の対応を検討したい」と話している。同大職員組合も事実関係を把握しており、「大学からの一方的な雇い止めで、対応を求めていかなければならない」としている。

 他の教職員からも、「PCBと微生物を取り扱えるのは学内で教授と助教しかおらず、極めて深刻な事態だ。雇い止めしておいて処理に当たらせようというのも身勝手だ」と大学側の対応を問題視する声が上がっている。同大総務部は読売新聞の取材に対し、「個人情報であり、コメントできない」としている。


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