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2016年06月16日

酪農学園・麻田信二理事長退任へ

■「北方ジャーナル」2016年7月

酪農学園・麻田信二理事長退任へ
学長更迭問題との関わりは否定
■常務理事など現職過半数が交替、新任に道・土屋農政部長ら

 昨夏に任期途中の学長が解任された酪農学園大学(江別市、竹花一成学長)で5月末、同学を運営する学校法人酪農学園(同、麻田信二理事長)の理事会が開かれ、法人理事9人のうち理事長を含む5人の退任が決まった。時期理事長などの人事は、7月の理事会で正式決定される。
 関係者によれば学園の理事会は5月27日、札幌市中央区のホテルで開かれた。麻田信二理事長のほか福山二仁常務理事など5人の退任が内定し、新たに谷山弘行・元酪農大学長や土屋俊亮・道農政部長らの理事就任が決まったという。
「麻田さんは午後6時からの懇親会で挨拶し、改めて辞意を述べていました。ただ、理由はあきらかにしていません」(法人関係者)
 酪農大では昨年7月、就任3年めを迎えて間もない干場信司学長(当時)が理事会決定により任期半ばで解任される騒ぎがあったり決定に疑義を唱える教員や同窓生らは理事会を激しく批判、「解任には合理的な理由がない」と訴え、署名活動などで現理事らに退任を迫り続けることになる。学長更迭の事情を知らされなかった現役学生の閤にも不信感が拡がり、昨年11月には法人が全学説明会を開くに到った。
 理事会が前学長解任を決めた理由の1つに、元常務理事が教員など6人を訴えた民事裁判がある。昨年5月の判決で、札幌地裁は原告が主張する干場前学長らの名誉毀損行為を一部認めた。理事会はこの一審判決を根拠に、干場氏が学長としての適性を欠いているとしていたが、本年3月の控訴審判決では地裁の判断が覆り、必ずしも名誉毀損は認められなくなった(本誌5月号既報)。
 この高裁判決が出る前から「確定前の判決を解任理由とするのはおかしい」と主張していた干場前学長は本年1月、自身が原告となって札幌地裁に〝第2の裁判″を提起した。学校法人を相手取り学長解任無効を求めるその訴訟では、4月までに2度の弁論が行なわれている。原告の干場氏は提訴後の会見で、活動の最終的な目標として現理事の即時退任を訴えていた。
 こうした混乱のさなかに内定した、麻田理事長退任。前学長を支持する関係者の聞からは「打れわれの運動が奏功した」との声が聴かれ、「引き続き全員の退任を求める」との主張も伝わってくる。当初「3期9年」だった理事長任期を廃止し、理論上無期限で法人の舵取りを続けられるルールをつくったのは、現在の理事会だ。定款(寄附行為)変更は一昨年度のことで、それを成し遂げたトップがここに来て自ら身を引くことには、どんな事情があるのか。麻田氏自身に問いを向けると、「そもそも長くやるつもりはなかった」との答えが返ってくる。先の裁判や教員らの反発は、辞意に影響していないという。
「深い意味はありません。もともと決めていたことですし、むしろ当初の予定より長くお世話になってしまったと思っているほど。仰言るような裁判の影響もありません。あれは学園が直接かかわっていることではないですから」
 一方、理事長退任の報に接した干場前学長は本誌に対して次のように語っている。
「自ら任期を撤廃したものの、ここに来て辞めぎるを得なくなったのでは。先の裁判の逆転判決や私の訴訟提起がなければ、理事長も常務理事もおそらく続投していたでしょう。新理事の顔ぶれには疑問もありますが、現職再任よりはよい結果になったと思います」
 麻田信二氏は道庁出身。おもに農政畑を歩み、2006年副知事で退職。翌07年から酪農学園理事長を務めている。現在3期。


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