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2016年10月20日

東京高裁の判決を受けての三大学教職員組合共同声明

東京高裁の判決を受けての三大学教職員組合共同声明

巻口勇一郎先生の教育研究者としての権利を守るため速やかなる職場への完全復帰を行うことを改めて求めます。

 本年1月25日の静岡地方裁判所に続いて、9月6日には東京高等裁判所においても、昨年7月3日の巻口先生の地位保全を認めた仮処分決定の有効性が再度確認されました。高裁レベルで、解雇無効を争っている労働者の雇用契約上の地位の保全を認める地裁決定判決が維持されたことは、少なくとも公刊されている事例の限りでは初めてのケースとされ、全国的にも画期的な判断判決として注目されています。常葉学園は最高裁への上訴を断念した結果、地位保全に関する決定判決は確定することとなりました。
 地裁決定判決以来、常葉学園側は様々な解雇事由を持ち出してきましたが、高裁レベルで地裁決定判決が維持されたことによりは、常葉大学側の解雇事由が、前例がないほど正当性に欠くものであることがを改めて明確になっしたものと言えます。東京高裁決定判決は、「本件懲戒解雇は、懲戒権の濫用であり、本件刑事告訴をその理由とするも、実質的には公益通報に対する報復措置である可能性がある」として、懲戒解雇の不当性を断じています。同時に高裁決定判決は、巻口先生は「教育・研究活動に従事するものであり、抗告人の教職員の地位を離れては、相手方(巻口)の教育・研究活動に著しい支障が生じることは明らかであり、抗告人との間で、労働契約上の権利を有する地位にあることを仮に認めなければ、回復し難い著しい損害が生じるものというべきである」と、労働契約上の地位保全とともに教育研究者としての権利保護を求めています。
 解雇措置を巡る本裁判は、先日結審し、来年1月に静岡地方裁判所の判決が下される予定です。その結果次第で、裁判が高裁に移行するとしても巻口先生の教育研究に従事する労働者としての権利は労働契約法に基づいて厳格に保護されるべきものです。私たち三大学の教職員組合は、常葉大学が司法の度重なる判断を尊重して、巻口先生の速やかなる教育研究者としての職場復帰を保証し、遅くとも来年度以降での教育研究者としての権利と活動を保証する具体的措置を取ることを求めるものです。
 昨年7月の仮処分決定に対して、常葉大学がその取消しを申し立ててきたことによって、巻口先生の回復しがたい著しい損害は一層深刻なものになっています。今回、この異議申し立てが東京高裁においても却下されたことの重みを、常葉大学は真摯に受け止めて対応することが、高等教育機関としての義務であると考えるものです。私たち三大学の教職員組合は、内部告発者の権利は「公益通報者保護法」等に基づき最大限尊重されるべきであり、かつ教育研究者の労働契約法上の権利は厳格に擁護されるべきものと考えるものであり、東京高等裁判所の決定の尊重と速やかに履行することを常葉大学に求めるものです。

2016年10月18日
              
静岡大学教職員組合、静岡県公立大学教職員組合、静岡英和学院大学教職員組合

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