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2016年12月05日

懲戒解雇取り消し、富大と元准教授が和解

毎日新聞(2016年11月30日)地方版

 富山大から懲戒解雇された元准教授の竹内潔さん(60)が処分取り消しを求めた仮処分は29日、富山地裁で和解が成立した。竹内さん側によると、地裁の和解案を受け入れ、大学側が懲戒解雇処分を取り消し、60日間の出勤停止に変更することなどで合意した。

 竹内さんは富山大人文学部准教授だった2013年6月、文部科学省の科学研究費補助金や民間団体の助成金などを申請する際、架空の業績や刊行予定のない論文の出版時期などを記載し、研究業績の虚偽申告をしたとされ、懲戒解雇処分を受けた。しかし、「契約もしており、論文は刊行予定だった。虚偽ではない」と反論し、翌14年12月、懲戒解雇の取り消しを求めて仮処分を申し立てた。

 竹内さん側によると和解内容は他に、▽竹内さんは13年9月に自己都合で退職したとする▽富山大は退職手当の残額約500万円と解決金255万円を支払う--などとしている。

 竹内さんは「大学教員は社会的信用で成り立っており、解雇は死刑のようなもの。大学は二度と同じ過ちを起こさないでほしい」と話した。

 富山大は「大学側の主張通り、業績の虚偽記載は認定され、復職も認められなかった」との見解を発表した。

富山大元准教授、懲戒解雇処分変更で大学と和解

読売新聞(2016年12月02日)

 虚偽の業績を書類に記載したとして富山大に懲戒解雇された元准教授の竹内潔氏(60)が、富山地裁に地位保全の仮処分命令を申し立てていた問題で、竹内氏側は29日、富山大と和解が成立したと発表した。

 和解では、富山大が退職手当と解決金計757万4690円を竹内氏に支払い、処分を懲戒解雇から60日間の出勤停止に変更して自己都合退職とする。

 富山大人文学部の准教授だった竹内氏は2013年6月、2000~12年度に教授昇任選考書類などに虚偽の業績を延べ37回記載したとして懲戒解雇された。竹内氏は処分を不服として14年12月、富山地裁に地位保全の仮処分命令を申し立てた。富山地裁は今月9日、和解条項案を提示し、両者が受け入れた。

 竹内氏は「懲戒権の濫用を富山大が認めたという成果があったと考えるが、十分に満足いくものではない。今後、不公正かつ恣意的な手続きや審査による処分で教員の研究や教育の途が閉ざされる事態が二度と生じないよう強く希望する」との談話を出した。

 富山大は、和解に応じたことを認め、「60日間の出勤停止は懲戒処分。業績の虚偽記載を行ったことは裁判所で認定され、復職も認められなかったと考えている」とコメントしている。


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