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2017年01月23日

常葉大学教員の解雇は無効 「報道後に懲戒規定を制定。地裁判決」

朝日新聞(2017年1月21日)

常葉大学教員の解雇は無効 「報道後に懲戒規定を制定」 地裁判決

 補助金の不正受給を内部告発し、学校法人常葉学園に解雇されたとして、同学園の男性教員(43歳)が職員としての地位保全を求めた訴訟で、静岡地裁(関口剛弘裁判長)は20日、「補助金の需給が課題であったことが報道された後に学園は懲戒規定を制定し、懲戒解雇をした」などと認定し、男性教員の懲戒解雇は無効とする判決を言い渡した。
 判決などによると、男性は2012年、同学園の補助金過大受給の内容を捜査機関などに通報しないように強要されたなどとして、当時の短大学長らを強要罪で静岡地検に刑事告訴。同年12月学長らは不起訴処分となった。一方で、常葉学園は01~04年度に常葉大学短期大学部(旧常葉学園短大)の授業を教授の身代わりに助手が担当し、補助金を過大に受給していたことを認めた。学園は、男性の刑事告訴が「学園の名誉または信用を害した」という就業規則の懲戒解雇条件に当たるとして15年2月に男性の懲戒解雇を決定。男性は懲戒解雇の無効と未払い賃金の支払いなどを求めて学園を提訴していた。
 関口裁判長は男性は告訴を外部に公表したわけではなく、「学園の名誉や信用が害されたと認めるには至らない」と指摘。「(*補助金不正受給公益通報の)問題が大きくなるのを防ぐために(懲戒解雇を)性急に行った」と認定した。一方で虚偽の事実に基づいて懲戒解雇の判断がされたなどとする原告側の主張は退けた。
 常葉学園は判決を受けて「原告の地位確認が認められたことは極めて残念」とするコメントを発表した。(宮廻潤子)


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