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2017年02月01日

苫駒大経営移管、新体制で再生を 教職員に不安と動揺

■苫小牧民報社(2017年1月28日)

 苫小牧駒沢大学が2018年4月に京都育英館に経営移管されることを受け、市民の間に期待と不安の声が上がっている。27日の記者会見で示された看護学部の創設を含めた新たな大学体制に対し、在校生や大学関係者らが率直な思いを語った。

 同大1年の向山阿良大(あらた)さん(19)は、「教授との距離が近い教育・研究ができる少人数ならではの魅力は感じていたが、学生数が増えれば大学や地域の活性化につながる。これを機によい風向きになれば」と前向きに捉えていた。

 1期生でアイスホッケー部の初代主将だった新谷昌洋さん(37)=日新町=は「新聞で知り、ショックだった。これからOB会のメンバーとも存続に向けて協力していこうと話していた。苫小牧駒沢大学がなくなるのは寂しい。広大な土地を生かし、スポーツ面にも力を入れてほしい」と話していた。

 短大時代から約20年にわたり、社会福祉の非常勤講師を務めた、緑星の里の森岡永吾名誉理事長(83)=柳町=は、「就職に直結しない学部だったため、学生集めが難しかったのでは」と分析。看護学部創設の構想には「医療や福祉は現場のニーズがある。実現すれば大学が大きく発展できる」と期待を寄せた。

 一方で、現役の教職員には不安と動揺が広がっている。教職員は、移管する18年3月末付で駒沢大学を解雇された後、京都育英館が雇用するとしているが、ある教職員は「駒沢大学は運営から手を引くので、『雇用を維持する』と言われても不安は残る」と表情を曇らせた。

 学生数の減少と経営難を受け、存続に向けてさまざまな団体が支援を続けてきた。苫小牧商工会議所(宮本知治会頭)では、市内の経済人から業界動向や経営について講義する「地域経済論」の講義への協力を控えていた矢先といい、宮本会頭は「大変驚いている。『親に負担をかけずに進学できる』という、大学誘致当初の原点に立ち返り、地域の人が学べる大学として再出発してほしい」と地域密着型の大学としての再生を願う。

 市議会5会派で構成する苫小牧駒沢大学を支援する議員の会の岩田典一会長(64)=豊川町=は、「市民の税金も使った大学が残り、安心した。駒大苫小牧高校を卒業しているので、駒沢の名に愛着があり、名前が変わるなら残念。今後も協力の仕方を模索していきたい」と継続的に支援する方向で考えている。

 16年3月には、東胆振・日高地域に唯一の4年制大学を残そうと、苫小牧駒沢大学と共に歩む市民の会が発足。津川義信会長(81)=明徳町=は「移管後も会の活動は続くと思う。今も会員が増えており、約240人に上る。大学周辺にとどまらず関心の高さを感じているので、よい方向に変わってほしい」と期待する。

 同大学は、27日付で保護者者宛てに文書で移管を通知しており、1月中に学生向けの説明会を開くとしている。

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