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2017年03月31日

札幌大、再雇用賃下げ無効判決 1億400万円支払い命令

毎日新聞(2017年3月30日

 定年後に再雇用された札幌大学(札幌市豊平区)の教授や元教授ら14人が、賃金を一方的に減額されたのは不当だとして大学側に減額分の未払い賃金などの支払いを求めた訴訟で、札幌地裁は30日、計1億400万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 湯川浩昭裁判長は「最大4割の大幅かつ急激な減額で重大な不利益が生じるにもかかわらず、代償措置や経過措置がとられなかった。教職員組合への説明も不十分だった」と指摘。「入学者数の減少などで人件費を削減する必要性はあったが、大幅な減額は不要で、無効だ」として、原告の訴えを大筋で認めた。

 判決によると、札幌大では2007年、教員の定年を労使協議で70歳から65歳に引き下げ、希望すれば70歳まで再雇用される制度を新設。再雇用期間中の年収は最高800万円とした。

 しかし大学側は12年10月、一方的に就業規則を改定し、13年4月以降の年俸を480万円に決めた。

 このため原告らは未払い賃金など計約1億1300万円の支払いを求めて提訴し、「当事者の同意なく大きな賃金引き下げが決められ、無効だ」と主張。大学側は「少子化など厳しい経営環境で人件費を引き下げる必要があった」と反論していた。

 判決後、八鍬(やくわ)幸信教授ら原告側が記者会見し、「企業や大学が労働者や研究者に、安易に厳しい条件を一方的に通告する風潮の歯止めとなる」と判決を評価。大学側は「今後の対応を含め、現時点でコメントできることはない」とした。


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